- クリニックの予約は「順番待ち」「時間帯予約」「時間指定予約」の3方式があり、診療科と患者層で最適解が変わる。方式選びを間違えると、システムを入れても電話は鳴り止まない。
- 電子カルテ・レセコンとの連携は「API連携/CSV連携/連携なし(手入力)」の3段階。自院のカルテがどれに当たるかを先に確認しないと、予約を入れても結局二重入力が残る。
- 当日キャンセル対策の中心はリマインド設計。前日・当日の通知チャネル(SMS/LINE/メール)と文面、キャンセル導線の作り込みで結果が変わる。
- 費用は既製のクラウド予約サービスで月額1〜5万円前後、カルテ連携やオリジナル運用を含むカスタム開発で100〜600万円前後がひとつの目安。
- 既製で足りるなら既製が正解。既製が合わないのは「予約枠の作り方が特殊」「カルテ/自動精算機/Web問診と繋ぎたい」といったケース。
結論:クリニックの予約システム導入でつまずく原因の大半は、製品選びではなく「予約方式の設計」と「電子カルテ連携の可否確認」を後回しにしたことにあります。この2つを先に決めれば、既製サービスで十分なのか、連携部分だけカスタム開発すべきなのかが自然に見えてきます。
本記事では、一般内科・小児科・歯科などの個人開業医と医療事務の方に向けて、予約方式の違い、電子カルテ/レセコン連携の現実、無断キャンセルを減らすリマインド設計、費用相場、既製サービスとカスタム開発の比較を、順を追って整理します。
※ 本記事は2026年7月時点の一般的な情報です。医療広告ガイドラインや個人情報の取扱いなど制度面の最新の解釈は、所管省庁や専門家にご確認ください。また、記載した効果はいずれも一般論であり、成果を保証するものではありません。
- 午前の受付開始と同時に電話が鳴りやまず、目の前の患者さんの対応が止まってしまう
- 「あと何人待ちですか」の問い合わせ電話だけで、1日に何十回も手が止まる
- 当日キャンセル・無断キャンセルが読めず、空いた枠がそのまま空振りになる
- 予約システムは入れたのに、結局その内容を電子カルテへ手入力していて二重手間になっている
- 待合が混み合い「いつまで待たせるのか」というクレームが月に何度も出る
- 紙の予約台帳とWeb予約が別管理で、ダブルブッキングが起きたことがある
1つでも当てはまるなら、この記事が役に立ちます。読む時間がない方は、無料相談で直接お答えします。
クリニックの予約システムとは
大事なのは、予約システムが「予約を取る道具」ではなく「受付の作業を患者側へ移す道具」だという点です。電話予約では、聞き取り・台帳記入・カルテの引き当てという3工程がすべて院内の人手で発生します。Web予約はこのうち入力と一次確認を患者側に移します。逆に言えば、患者が入力しない・できない設計にすると電話は減りません。導入したのに「電話の本数が変わらない」というクリニックは、多くの場合ここでつまずいています。
予約システムが担う主な機能
Web予約・順番待ち受付
患者がスマホから診療枠を選ぶ、または当日の順番を取る。24時間受付できるため、診療時間外の予約を取りこぼさない。
リマインド・呼び出し通知
前日/当日のリマインド、順番が近づいた際の呼び出し通知。SMS・LINE・メール・アプリなど、チャネルは製品により異なる。
予約枠の設定・調整
診療時間、担当医、診療メニューごとの枠数と所要時間、休診日、初診/再診の区分などを管理画面から設定する。
患者情報の受け渡し
電子カルテ・レセコンへ患者情報や来院予定を渡す。API連携/CSV連携/連携なしのいずれかで、実装難易度が大きく変わる。
実績の可視化
時間帯別の来院数、キャンセル率、初診比率、予約経路などを集計。枠設計の見直しに使う。
受付端末・待合表示
院内タブレットでの受付、待合モニターへの番号表示。順番待ち方式のクリニックでは実質必須になることが多い。
電話予約が受付を疲弊させる構造的な理由
「電話が多い」という悩みは、単に電話の本数の問題ではありません。受付業務の性質上、電話は他のすべての作業を強制的に中断させるという特徴を持っています。
中断コストが本当のダメージ
会計処理の最中に電話が鳴れば、金額の確認を中断して受話器を取ります。処理を再開したとき、どこまでやったかを思い出すのに数十秒かかります。この「思い出す時間」は記録に残らないため経営側からは見えませんが、電話1本あたりの実質コストを大きく押し上げます。
電話の内訳を1週間だけ記録してみる
導入検討の前に、ぜひやっていただきたいのが電話内容の記録です。受付に紙を1枚置き、電話を取るたびに「①新規予約 ②予約変更・キャンセル ③待ち時間の確認 ④診療内容・持ち物の質問 ⑤その他」のどれかに正の字を書くだけ。1週間続ければ自院の電話の偏りが分かり、偏りによって選ぶべき打ち手が変わります。
| 電話の内訳で最も多いもの | 優先すべき打ち手 |
|---|---|
| ①新規予約が圧倒的に多い | Web予約の導入。まずは予約を患者側の操作に移す |
| ②予約変更・キャンセルが多い | 予約確認URLからの自己変更・自己キャンセル導線を用意する |
| ③待ち時間の確認が多い | 順番待ち受付+順番通知。Web予約だけ入れても解決しない |
| ④診療内容・持ち物の質問が多い | 予約完了メール/LINEへの案内文の同梱、Web問診の導入 |
③が多いのにWeb予約だけを導入して「電話が減らない」と嘆くケースは非常に多いです。電話の中身を知らずに製品を選ばない。これだけで失敗の何割かは避けられます。
3つの予約方式の違いと診療科別の向き不向き
① 順番待ち方式(当日の受付順)
患者はスマホから「今日の順番」を取り、順番が近づいたら通知を受けて来院します。時刻の約束はしません。
- 向いているケース:一般内科、小児科、耳鼻咽喉科など、1人あたりの診察時間が読みにくく、当日受診が中心の科
- メリット:診察時間のブレを吸収できる。待合の滞在時間が減り、感染対策の面でも扱いやすい
- デメリット:患者側に「何時に行けばいいか」の確約がない。遠方の患者や仕事の合間に来る患者には不満が出やすい
- 設計の勘所:「あと何人」だけでなく「おおよその案内時刻」を出せると満足度が変わる。ただし表示は目安である旨を明記する
② 時間帯予約(30分〜1時間の枠)
「10:00〜10:30の枠に3名」といった形で、枠ごとに定員を設ける方式です。順番待ちと時間指定の中間に位置します。
- 向いているケース:内科の予防接種・健診枠、皮膚科、整形外科など、ある程度の時間読みができる診療
- メリット:来院の集中を平準化しつつ、診察時間のブレも吸収できる。運用の柔軟性が高い
- デメリット:枠内の順番は先着になるため、枠の中での待ちは残る
- 設計の勘所:枠あたりの定員設計がすべて。実績データを見ながら3か月ごとに調整する前提で組む
③ 時間指定予約(15分などの個別枠)
「10:15から○○様」と個別に時刻を確定させる方式です。
- 向いているケース:歯科、リハビリ、自由診療、カウンセリング系など、処置内容ごとに所要時間が決まっている診療
- メリット:患者の待ち時間が最小化される。スタッフとチェア/処置室の稼働も計画しやすい
- デメリット:遅刻・キャンセルの影響が大きい。1件の穴がそのまま空き時間になる
- 設計の勘所:処置メニューごとに所要時間を持たせ、メニュー選択に応じて必要な枠数を自動で押さえる仕組みが要る
ハイブリッド運用が現実解になることが多い。実際のクリニックでは「午前は順番待ち、午後の予防接種枠は時間帯予約、自由診療は時間指定」といった混在運用が普通です。既製サービスの中には片方の方式しか想定していないものもあるため、自院の混在パターンを先に書き出してから製品を見るのが安全です。
| 診療科の例 | 相性の良い方式 | 補足 |
|---|---|---|
| 一般内科・小児科 | 順番待ち中心+予防接種は時間帯 | 感染症シーズンの隔離導線と組み合わせる設計が要る |
| 歯科 | 時間指定 | 処置メニュー別の所要時間管理が必須 |
| 皮膚科・整形外科 | 時間帯予約 | 処置の有無で所要時間が割れるため枠定員の調整が肝 |
| 耳鼻咽喉科 | 順番待ち | 季節変動が大きく、枠固定だと破綻しやすい |
| 自由診療・美容 | 時間指定 | 事前決済やキャンセルポリシーの提示と併せて設計する |
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電子カルテ・レセコン連携の現実
ここが最も現実とのギャップが出る部分です。「入れればカルテに自動で入る」と期待して導入し、実際には受付が予約一覧を見ながらカルテへ手入力している——という状況は珍しくありません。
連携の3段階
| 連携の段階 | できること | 実装の難易度 |
|---|---|---|
| API連携(カルテ側が連携インターフェースを公開) | 予約確定と同時に患者IDを引き当て、来院予定を渡す。双方向のものもある | 比較的低い。ただし利用条件・費用はカルテベンダー次第 |
| ファイル(CSV等)連携 | 一定間隔でファイルを書き出し/取り込み。準リアルタイム | 中。文字コード・患者ID体系の突合設計が要る |
| 連携なし(画面手入力) | 予約一覧を見ながら受付がカルテへ入力 | —(システム開発は不要だが人手が残る) |
まず確認すべき5つのこと
- 自院の電子カルテ/レセコンの製品名とバージョン。同じ製品でも版によって連携可否が違うことがあります
- 連携インターフェース(API等)が提供されているか。ベンダーのサポート窓口に「外部の予約システムと連携したい」と直接聞くのが確実です
- 連携の利用に別途費用・オプション契約が必要か。ここが見積の変動要因になりやすい部分です
- 患者IDの引き当てルール。初診はカルテ番号がないため、氏名・生年月日・電話番号などでどう突合するかを決める必要があります
- 院内ネットワークの構成。カルテがインターネットから隔離されている場合、連携は院内サーバー経由など別の設計になります
「連携できません」で終わらせない。カルテ側にAPIがなくても、CSVの入出力機能や、受付リストの取り込み機能があるケースは多くあります。完全自動でなくとも「1日3回まとめて取り込む」形で二重入力の8割を消せるなら、費用対効果は十分に成立します。現実的な落としどころを探る余地は、多くの場合まだ残っています。
連携範囲を決める考え方
連携は「やれるだけやる」と費用が膨らみます。優先度をつけて段階的に進めるのが現実的です。
※ 上記は一般的なモデルケースにおける優先度の目安であり、成果を保証するものではありません。
無断キャンセルを減らすリマインド設計
当日キャンセル・無断キャンセルは、時間指定予約を採用しているクリニックほど痛手になります。予約システムを入れる目的のひとつが、この対策です。
リマインドは「いつ・どこへ・何を」で決まる
| 要素 | 設計の選択肢 | 考え方 |
|---|---|---|
| タイミング | 3日前/前日夕方/当日朝/2時間前 | 前日+当日の2回が扱いやすい。前日だけだと当日朝の失念に対応できない |
| チャネル | SMS/LINE/メール/アプリ通知 | 高齢層はSMS、子育て世代はLINEの到達率が高い傾向。患者層で選ぶ |
| 内容 | 日時・診療内容・持ち物・所要時間の目安 | 「保険証と診察券をお持ちください」の1行があるだけで受付の会話が減る |
| 導線 | 変更/キャンセルのリンク | ここが最重要。キャンセルしやすくすると無断キャンセルが減り、空き枠を再販できる |
「キャンセルしにくくすれば来てくれる」は逆効果です。連絡手段がないと患者は黙って来なくなります。ワンタップでキャンセルできる導線を用意し、空いた枠を当日枠として即座に再開放する——この流れを作ったほうが、結果的に枠の稼働は安定します。
リマインド文面の作り方
医療機関からの通知は、事務的すぎると読み飛ばされ、装飾が多すぎると迷惑メール扱いされます。次の構成が扱いやすい形です。
- 1行目に「医院名+予約日時」。プッシュ通知のプレビューで完結させる
- 2行目に診療内容と所要時間の目安
- 3行目に持ち物(保険証・診察券・お薬手帳など)
- 4行目に変更・キャンセルのリンク
- 最後に「体調により来院が難しい場合は事前にご連絡ください」の一文
SMSは文字数と送信コストに注意。1通あたりの従量課金になる製品が多く、全患者に前日・当日の2回送ると月間の通知件数は想像以上に増えます。「時間指定予約の患者だけSMS、順番待ちはLINE/メール」のように、方式別にチャネルを分けるとコストを抑えられます。
待ち時間クレームを減らす順番通知の作り方
「待ち時間が長い」というクレームの多くは、実は待ち時間そのものではなく「あとどれくらいか分からないこと」に対する不満です。ここは技術で改善できる余地が大きい領域です。
3つの表示レベル
現在の受付番号のみ
「ただいま12番の方を診察中」。実装は最も簡単だが、自分の順番が何番目かを患者が自分で計算する必要がある。
あと何人待ち
患者ごとに「あと3人」と表示。分かりやすく、多くの製品が標準対応している。ここまでで満足度はかなり上がる。
案内予定時刻の目安
過去の実績から1人あたりの平均診察時間を算出し、「11:20頃のご案内予定」と表示。外出しての待機がしやすくなる。
Lv.3は魅力的ですが、診察時間は患者ごとに大きくブレるため、表示時刻が外れると逆に不信感を招きます。「目安であり前後する場合があります」を必ず併記し、大幅にずれた場合は再通知する設計が安全です。
呼び出し通知の設計
- 2段階通知:「あと3人」で1回、「まもなくご案内」で1回。1回だけだと間に合わない患者が出る
- 離席許容範囲の明示:「院外でお待ちいただけますが、○分以内に戻れる範囲でお願いします」と具体的に書く
- 戻り遅れの扱い:呼び出しに応じなかった場合、何番後ろに回すのかを事前にルール化し、掲示しておく
- 院内待合の表示:スマホを持たない患者のために、待合モニターでの番号表示は残す
※ 上記は一般的なモデルケースであり、成果を保証するものではありません。
Web問診・自動精算機との組み合わせ
受付業務全体で見ると、「予約 → 問診 → 受付 → 診察 → 会計」のどこにボトルネックがあるかで、組み合わせるべきものが変わります。
| ボトルネック | 組み合わせる仕組み | 期待できること |
|---|---|---|
| 受付での問診票記入に時間がかかる | Web問診(予約時に事前入力) | 来院前に問診が済み、待合の滞在時間と記入補助の手間が減る |
| 会計の待ち行列が長い | 自動精算機・キャッシュレス決済 | 会計待ちの分散。レジ締めの負担も軽くなる |
| 初診の情報登録に時間がかかる | Web予約時の患者情報事前登録 | カルテ側への初期登録が省力化される(連携可否による) |
| 診察券の忘れ・紛失対応が多い | デジタル診察券・QRコード受付 | 受付端末でのセルフ受付が可能になる |
すべて別ベンダーで揃えると「繋がっていない箱」が並ぶことになります。予約はA社、問診はB社、精算機はC社——それぞれ優秀でも、患者情報が行き来しなければ受付は3つの画面を見比べることになります。導入順序と連携方針を最初に決めておくことが、後々の手戻りを防ぎます。
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導入費用の相場
タイプ別の費用目安
| タイプ | 初期費用 | 月額 | 想定されるケース |
|---|---|---|---|
| クラウド予約サービス(基本機能) | 0〜10万円 | 1〜3万円 | Web予約と簡易リマインドがあれば足りる |
| クラウド予約サービス(順番待ち+通知+待合表示) | 5〜20万円 | 2〜5万円 | 順番待ち運用が中心の内科・小児科など |
| 既製サービス+カルテ連携オプション | 10〜50万円 | 3〜8万円 | カルテ側にAPI/連携機能があり標準対応している場合 |
| 既製サービス+連携部分のカスタム開発 | 80〜250万円 | 既製分+保守 | 標準連携がなく、CSV連携や中間の仕組みを作る場合 |
| 予約システム自体をフルスクラッチ開発 | 300〜600万円 | 保守 月2〜8万円 | 予約枠のルールが特殊、複数拠点・複数診療科の統合など |
※ 上記は一般的なモデルケースであり、成果を保証するものではありません。実際の金額は要件・連携先・院内ネットワーク構成により変動します。
見落とされやすい費用
- SMS通知の従量課金:1通あたり数円〜十数円。月間の送信件数を必ず試算する
- 電子カルテ側の連携オプション費用:予約システム側ではなくカルテベンダー側で発生することがある
- 待合モニター・受付タブレットなどのハードウェア:機器と設置工事で数万円〜数十万円
- 院内Wi-Fi・ネットワーク工事:医療系ネットワークと業務系を分離する構成が必要な場合に発生する
- スタッフ研修と移行期間の人件費:紙台帳との並行運用期間は一時的に手間が増える
費用対効果の考え方については業務システム化の費用対効果(ROI)、開発費用の一般的な相場観はシステム開発の相場もあわせてご覧ください。
既製サービス vs カスタム開発の比較
ここは正直にお伝えしたい部分です。既製のクラウド予約サービスで足りるクリニックは、実際にかなり多いです。予約方式が標準的で、カルテ連携も標準対応の範囲で済むなら、月額数万円のサービスを使うのが最も合理的です。
| 比較項目 | 既製のクラウド予約サービス | カスタム開発(連携含む) |
|---|---|---|
| 初期費用 | 0〜20万円 | 80〜600万円 |
| 導入までの期間 | 2週間〜1か月 | 2〜6か月 |
| 予約方式の柔軟性 | 製品が想定する方式の範囲内 | 自院の運用に合わせて設計できる |
| 電子カルテ連携 | 対応カルテのリストに載っていれば可 | API/CSVいずれでも設計次第で対応可能 |
| 画面・文言のカスタマイズ | ロゴ・色など限定的 | 患者層に合わせて自由に設計できる |
| 他システムとの連携 | 公式連携のある製品に限られる | 問診・精算機・自院サイトなどと繋げられる |
| 保守・法令対応 | ベンダーが対応 | 開発会社との保守契約で対応 |
| ランニングコスト | 月額が継続的に発生 | 保守費のみで済むことが多い |
既製サービスで十分なケース
- 予約方式が「順番待ちのみ」または「時間帯予約のみ」でシンプル
- 電子カルテが主要製品で、予約サービス側の公式連携リストに載っている
- 診療科が1つ、医師が1〜2名で、枠の組み方が複雑でない
- まずは電話を減らすことが最優先で、細かい要望は後回しでよい
カスタム開発を検討したほうがよいケース
- 午前は順番待ち、午後は時間指定、特定曜日だけ別枠——といった混在運用が既製の設定で表現できない
- 電子カルテが古い、あるいは公式連携がなく、二重入力が残ってしまう
- 処置メニューごとに所要時間・使用する部屋/機器が異なり、リソースの同時押さえが必要(歯科のチェア、リハビリの機器など)
- 分院・複数拠点をひとつの画面でまとめて管理したい
- 健診・予防接種など、季節ごとに枠の作り方が大きく変わる運用がある
- 既存のWeb問診や自動精算機と患者情報を行き来させたい
LUCRISでは、まず既製サービスで足りるかどうかを一緒に確認します。既製で足りるならその旨をお伝えし、無理にご提案はしません。そのうえで「ここだけが合わない」という部分が残る場合に、既製サービスとの連携部分だけを作る、あるいは予約の中核から作る——という選択肢をご説明しています。スクラッチ・パッケージ・SaaSの比較も判断材料になります。
導入の進め方と院内オペレーション設計
予約システムは、契約して設定すれば動くものではありません。院内の受付フローそのものを設計し直す作業が伴います。
導入ステップ
患者への周知が成否を分ける
どれだけ良いシステムを入れても、患者が使わなければ電話は減りません。周知は複数の経路で、重ねて行います。
- 院内掲示とチラシ:受付・待合・診察室の3か所。QRコードは大きく印刷する
- 会計時の一声:「次回からスマホでも予約できます」と診察券と一緒に案内カードを渡す
- 自院サイトのトップ:ファーストビューに予約ボタンを置く。埋もれさせない
- 電話応対時の誘導:予約の電話を受けた際に「次回はこちらからも取れます」と伝える
- 移行期間の設定:「○月から電話予約は△△の場合のみ」と段階的に切り替える。いきなり電話を止めない
スタッフが使いこなせていないシステムを患者に勧めることはできません。研修は「患者からこう聞かれたらこう答える」というQ&A形式で行うと、現場での定着が早くなります。ツールが現場で使われない理由についてはITツールが現場で使われない理由も参考になります。
よくある失敗と回避策
| 失敗パターン | 何が起きるか | 回避策 |
|---|---|---|
| 電話の内訳を調べずに製品を選ぶ | 待ち時間確認の電話が減らず「効果がない」と判断される | 導入前に1週間、電話内容を記録する |
| カルテ連携の可否を確認せず契約 | 予約一覧を見ながらカルテへ手入力する二重作業が残る | カルテベンダーに連携可否・費用を先に確認する |
| 予約枠を最初から細かく作り込む | 実態と合わず、毎日手作業で調整することになる | 粗い枠で始め、3か月の実績を見てから細かくする |
| キャンセル導線を意図的に分かりにくくする | 無断キャンセルが増え、空き枠の再販もできない | ワンタップでキャンセルでき、枠が即再開放される設計にする |
| 紙台帳を即日で廃止する | トラブル時に受付が完全に止まる | 2〜4週間の並行運用期間を必ず設ける |
| 患者への周知が院内掲示だけ | 利用率が上がらず、電話が併存し続ける | 掲示・声かけ・サイト・電話応対の4経路で重ねて周知する |
| スタッフの意見を聞かずに院長だけで決める | 受付が使いにくさを感じ、運用が形骸化する | 選定段階で受付スタッフにデモを触ってもらう |
個人情報の取扱いにも注意を
予約システムは患者の氏名・連絡先・受診歴という機微な情報を扱います。アクセス権限、通信の暗号化、データの保管場所、退職時のアカウント停止フローは導入時に確認しておきましょう。制度面の要求事項は更新されることがあるため、本記事は2026年時点の一般的な情報として捉え、最新の要件は所管省庁や専門家にご確認ください。
相談だけでも大丈夫ですか?
もちろん大丈夫です。「そもそも予約システムが必要なのか」「既製サービスで足りるのか」という段階のご相談を多くいただいています。初回相談・お見積りは無料で、売り込みは一切いたしません。既製サービスで足りると判断した場合は、その旨を正直にお伝えします。
滋賀県外・遠方のクリニックでも対応できますか?
対応できます。LUCRISは滋賀県大津市を拠点としていますが、オンライン面談を中心に全国のお客様をご支援しています。要件整理・設計・テストの大部分はオンラインで進められるため、距離が理由でご提案の質が下がることはありません。院内ネットワークの確認など現地対応が必要な工程がある場合は、事前にご相談のうえ調整します。
費用はどのくらいから始められますか?
既製のクラウド予約サービスであれば月額1〜3万円程度から、既製サービスとの連携部分だけをカスタム開発する場合は80万円前後からがひとつの目安です。ただしこれは一般的なモデルケースであり、電子カルテの種類や連携範囲、院内ネットワークの構成によって大きく変わります。ご予算の上限がある場合は、その範囲で何ができるかという形でご提案しますので、遠慮なくお伝えください。
電子カルテと連携できるかどうか、どう調べればいいですか?
最も確実なのは、電子カルテのベンダーサポートに「外部の予約システムと連携したい。APIまたはCSVでの入出力は可能か、追加費用はかかるか」と直接問い合わせることです。予約サービス側の公式サイトにも対応カルテ一覧が掲載されていることが多いので、両方を突き合わせて確認します。ご自身での確認が難しい場合は、無料相談の際にお手伝いします。
順番待ちと時間帯予約、どちらを選ぶべきですか?
1人あたりの診察時間が読みにくく当日受診が多い診療科(一般内科・小児科・耳鼻咽喉科など)は順番待ち、処置内容ごとに所要時間が決まっている診療(歯科・リハビリ・自由診療など)は時間指定または時間帯予約が合いやすい傾向があります。ただし実際には「午前は順番待ち、午後の予防接種は時間帯予約」といった混在運用が一般的です。混在パターンを先に書き出してから製品を検討することをおすすめします。
導入までにどれくらいの期間がかかりますか?
既製のクラウド予約サービスであれば、設定と研修を含めて2週間〜1か月程度が目安です。電子カルテ連携を含むカスタム開発の場合は、要件整理から本稼働まで2〜6か月程度を見込みます。いずれの場合も、紙台帳との並行運用期間を2〜4週間確保することをおすすめしています。
高齢の患者さんが多いのですが、Web予約は使ってもらえますか?
すべての患者さんに使っていただく必要はありません。実務上は「電話予約も残しつつ、使える方から移っていただく」形が現実的です。全体の3〜4割がWeb予約に移るだけでも、受付の中断回数はかなり変わります。また、高齢層はLINEよりSMSのほうが届きやすい傾向があるため、通知チャネルの選び方も重要です。ご家族がスマホで代理予約できる導線を用意しているクリニックもあります。
今使っている予約システムから乗り換えることはできますか?
可能です。既存システムから予約データや患者情報をエクスポートできるかがポイントになります。エクスポート機能がない場合でも、画面からの出力や別の方法で移行できるケースがあります。乗り換えの際は、現行システムの何が不満なのかを整理しておくと、次の選定でも同じ失敗を繰り返さずに済みます。業務システム要件定義の進め方も参考にしてください。
導入後のサポートや改修はお願いできますか?
はい。カスタム開発の場合は保守契約のなかで、機能追加や運用の見直しにも対応しています。予約枠の設計は運用しながら調整していくものなので、導入して終わりではなく、実績データを見ながら一緒に改善していく前提でお付き合いいただくことが多いです。保守の考え方についてはシステム保守とはもご覧ください。
まとめ
クリニックの予約システムは、製品の機能比較から入ると迷子になります。順序としては、①電話の内訳を1週間記録する → ②予約方式を決める → ③電子カルテの連携可否を確認する → ④その条件で製品を探す、この流れが遠回りに見えて最短です。
そして、既製サービスで足りるなら既製が正解です。それでも「うちの枠の組み方が表現できない」「カルテとの二重入力が消えない」という部分が残ったとき、はじめてカスタム開発が選択肢になります。LUCRISは、その判断そのものからご一緒します。
クリニックの予約まわりのお悩み、無料相談で整理しませんか
「電話が鳴りやまない」「カルテへの二重入力が消えない」——現状をお聞かせいただければ、既製サービスで足りるのか、連携部分だけ作るべきなのかを一緒に切り分けます。オンライン面談に対応、全国からご相談いただけます。
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