- 車検の取りこぼしは「忘れた」ではなく「気づける仕組みがない」ことが原因。満了日を軸にデータを持つだけで再入庫率は変わります。
- 管理すべきは顧客・車両・車検満了日・整備履歴・見積請求の5つ。バラバラに持つと必ず手作業が発生します。
- 案内はハガキDMだけでなく、LINE・SMS・電話リストを満了日の90日/60日/30日前で自動生成するのが基本形です。
- 既製の整備ソフトで足りる工場も多くあります。合わないのは「自社独自の運用(下取り・鈑金・レンタカー・複数拠点など)」が絡むときです。
- 費用相場は既製ソフト月額数千〜数万円、カスタム開発は80〜500万円程度。判断基準と導入6ステップまで解説します。
結論:車検の取りこぼしは、営業努力ではなくデータの持ち方で解決します。「車検満了日」を全顧客・全車両に対して1箇所で持ち、そこから案内リストが自動で出てくる状態を作れば、思い出す作業そのものが不要になります。
本記事では、整備工場・指定工場・認証工場の経営者に向けて、車検・整備管理システムで何をどう管理するのか、案内の自動リマインドはどう設計するのか、既製の整備ソフトとカスタム開発をどう使い分けるのかを、費用相場・導入手順・失敗例まで含めて具体的に解説します。
- 車検満了日は紙の台帳とホワイトボードで管理していて、毎月末に目視で拾っている
- 案内ハガキの宛名書き・封入・投函に、事務が丸2日かかっている
- 去年来てくれたお客様が今年来なかった。理由も分からないまま放置されている
- 整備履歴が紙の作業指示書で、過去に何を交換したか探すのに時間がかかる
- 見積を作るたびに手書き→Excel→請求書と3回同じ数字を打ち直している
- 既製の整備ソフトを入れたが、自社のやり方と合わず結局Excelに戻ってしまった
1つでも当てはまるなら、この記事が役に立ちます。読む時間がない方は、無料相談で直接お答えします。
なぜ整備工場で「車検の取りこぼし」が起きるのか
整備工場の経営者と話すと、ほぼ全員が同じことを言います。「取りこぼしているのは分かっている。でも、どれだけ取りこぼしているかは分からない」。この一文に、問題の本質が詰まっています。
取りこぼしは「忘れたから」ではない
車検の案内を出し忘れるのは、スタッフの意識が低いからではありません。仕組み上、気づけないようになっているからです。典型的な現場はこうなっています。
- 顧客名簿は紙のバインダー、または事務員が作ったExcel
- 車検満了日はホワイトボードに「今月分」だけ書き出す
- 過去の作業指示書はファイルキャビネットに年度別で保管
- DM発送先は、前回発送したリストをコピーして手で修正
この状態だと、「今月の満了車」は分かっても、「先月来なかった人」は誰も追いかけません。ホワイトボードは月が変わると消されるからです。取りこぼしは記録されず、統計にも残らない。だから「どれだけ取りこぼしているか分からない」という状態が続きます。
取りこぼしが怖いのは、金額が見えないことではなく「減っていることに気づけない」ことです。年間で数%ずつ静かに顧客が抜けていっても、繁忙期の忙しさに紛れて誰も異変に気づきません。3年経って「最近ヒマだな」と感じたときには、すでに母数が2割減っている——これが最も多いパターンです。
整備工場のビジネスは「再来訪の積み上げ」で成り立つ
車検は2年(新車初回は3年)に1度、必ず訪れる需要です。ここが他業種と決定的に違う点で、顧客リストと満了日さえ正確に持っていれば、需要の発生日が2年先まで確定しているという極めて恵まれた構造をしています。
つまり整備工場にとって顧客データベースは、単なる名簿ではなく「2年先まで見える受注予定表」です。それを紙とホワイトボードで運用しているのは、確定した売上予定表を毎月消しゴムで消しているのと同じことになります。
「営業をがんばる」では解決しない理由
取りこぼし対策として真っ先に出てくるのが「DMを増やす」「電話をかける」という案です。しかしこれは、根本原因であるリストが作れないを放置したまま、作業量だけ増やす対策です。事務スタッフの残業が増えるだけで、翌年には元に戻ります。
解決すべきは「誰に、いつ、何を送るべきかが自動で分かる状態」を作ること。ここさえ作れば、案内の実行はハガキでもLINEでも電話でも構いません。実行手段より、リストが自動で出てくることのほうが100倍重要です。
車検・整備管理システムとは何か
会計ソフトや顧客管理ソフトとの違い
一般的な顧客管理ソフト(CRM)は「人」を中心にデータを持ちます。しかし整備工場では、1人の顧客が複数台を所有する、1台の車が売買で所有者を変える、という構造があるため、人だけを軸にすると破綻します。
| ソフトの種類 | データの中心 | 整備工場での限界 |
|---|---|---|
| 会計ソフト | 取引(金額) | 誰の何号車を整備したか残らない |
| 一般的なCRM | 人(顧客) | 1人が複数台持つ/車が人を移るのを表現しにくい |
| 予約管理ツール | 日時 | 過去履歴と将来の満了日がつながらない |
| 整備管理システム | 車両+顧客 | ——(この構造が前提) |
最低限備えるべき機能
車両台帳
車台番号・登録番号・型式・初度登録年月・車検満了日・走行距離を保持。顧客と紐づける。
満了日アラート
満了日の90/60/30日前に該当車両を自動抽出し、案内対象リストを生成する。
整備履歴
作業日・作業内容・交換部品・工賃・担当整備士を車両単位で時系列に蓄積。
見積・請求
整備メニューから見積を作成し、そのまま作業指示・請求へ引き継ぐ。二重入力をなくす。
入庫スケジュール
ピット・リフト・代車の空き状況をカレンダーで管理。繁忙期の詰め込みを防ぐ。
案内配信
ハガキ用の宛名データ出力、LINE/SMSでの一斉案内、開封・反応の記録。
まず作るべきは上段の4つ(CORE)だけです。入庫スケジュールや配信機能は、CORE が動き始めてから追加しても遅くありません。最初から全部載せようとすると、導入が半年遅れます。
一元管理すべき5つのデータ
ここでは「何を持てばいいのか」を具体的に定義します。システムを検討する前に、この5つが自社でどう管理されているかを確認してください。
1. 顧客情報
氏名・住所・電話番号だけでは足りません。案内の自動化を考えるなら、連絡手段の優先順位を持つことが重要です。ハガキが届く人、LINEのほうが反応する人、法人で担当者宛にFAXが確実な人——顧客ごとに最適な経路は違います。
- 氏名/法人名・担当者名
- 住所(ハガキDM用・転居フラグ)
- 電話番号(携帯/固定の区別)
- LINE連携の有無、メールアドレス
- 案内希望経路の優先度(1次:LINE、2次:ハガキ 等)
- 「案内不要」フラグ(廃車・転居・他店移行)
意外と効くのが最後の「案内不要フラグ」です。廃車済みや引っ越し済みの顧客にDMを出し続けると、印刷・郵送コストが毎回無駄になるうえ、返送物の処理で事務が消耗します。フラグ1つで年間の郵送費が数万円単位で変わることは珍しくありません。
2. 車両情報
整備管理システムの心臓部です。車両を主キーとして持ち、そこに顧客を紐づけるのが正しい構造になります。
| 項目 | 用途 | 重要度 |
|---|---|---|
| 登録番号(ナンバー) | 現場での検索キー | 必須 |
| 車台番号 | 唯一の識別子。ナンバー変更に強い | 必須 |
| 初度登録年月 | 年式判定・部品提案の根拠 | 必須 |
| 車検満了日 | 案内タイミングの起点 | 最重要 |
| 型式・原動機型式 | 部品発注・見積精度 | 推奨 |
| 走行距離(入庫ごと) | 消耗品の交換提案 | 推奨 |
| 自賠責の保険期間 | 車検時の同時案内 | 推奨 |
3. 車検満了日
これだけは独立した項目として扱ってください。整備履歴の中に埋もれさせず、車両レコードの一級項目として持ちます。理由は単純で、「満了日で並べ替えて抽出する」という操作をシステムが毎日実行するからです。
紙台帳からの移行時、満了日の入力精度が全体の成否を決めます。名前や住所は多少揺れても実害は小さいですが、満了日が1つ間違っていればその顧客は確実に取りこぼします。移行時は満了日だけ二重チェックする、と割り切って進めるのが現実的です。
4. 整備履歴
「いつ・何を・いくらで」を車両単位で時系列に持ちます。この履歴が貯まると、次の提案が根拠を持って出せるようになります。
- 作業日・入庫時走行距離
- 作業種別(車検/12ヶ月点検/一般整備/鈑金/タイヤ交換)
- 交換部品(品番・数量・単価)
- 工賃(作業項目・時間)
- 担当整備士・検査員
- 次回推奨事項(「次回タイミングベルト」等のメモ)
5. 見積・請求
見積→作業指示→請求が別々の書類になっていると、同じ数字を3回打ち直すことになります。ここを1本の流れにするだけで、事務作業が体感で半分以下になる工場は多いです。
※ 上記は一般的なモデルケースであり、成果を保証するものではありません。
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車検案内の自動リマインドをどう設計するか
接触は3回、タイミングは90日/60日/30日前
1回の案内で反応しない顧客は多く、複数回の接触が現実的です。整備工場でよく使われるのが次の設計です。
| タイミング | 手段 | 内容の狙い |
|---|---|---|
| 満了90日前 | ハガキDM | 早期予約の特典を提示。日程に余裕がある層を先に押さえる |
| 満了60日前 | LINE/SMS | 「そろそろです」の軽いリマインド。予約導線を1タップに |
| 満了30日前 | 電話/再DM | 未反応者のみに絞り込み。代車手配など具体的な提案 |
| 満了後7日 | 電話 | 他店流出の確認。理由をデータとして残す |
ポイントは3行目の「未反応者のみに絞り込み」です。すでに予約済みの顧客にまで電話をかけると、手間が3倍になるうえに顧客体験も悪くなります。予約済みフラグで自動的に除外できるかどうかが、既製ソフトとカスタムの分かれ目になることも多い部分です。
ハガキDMは「宛名データが出せるか」が全て
ハガキDM自体は今も有効な手段です。特に高齢の顧客層が多い地域では、LINEよりハガキのほうが反応率が高いことも珍しくありません。問題は作り方で、次の3つが自動化できていれば事務負担は大きく下がります。
- 該当月の対象車両を抽出し、宛名CSVを出力できる
- 宛名に「◯◯様 ナンバー ●● ●●-●●」まで差し込める
- 発送履歴を顧客レコードに自動記録できる(誰に何を送ったか残る)
LINE公式アカウント連携で「返信できる案内」にする
ハガキの弱点は一方通行であることです。顧客が「行きたい」と思った瞬間に予約できないため、後回しにされて忘れられます。LINEを併用する最大の価値は、案内から予約までの距離を縮めることにあります。
個別リマインド
満了日をもとに顧客ごとに配信。「◯月◯日が車検満了日です」と個別の日付を入れられる。
1タップ予約
候補日を3つ提示してタップで仮予約。電話が苦手な層の取りこぼしを防ぐ。
未友だち登録者へ
LINE未登録の携帯番号にはSMS。到達率が高く、短文のリマインドに向く。
LINE配信を検討するなら、まず「顧客レコードとLINEユーザーを紐づける」設計が要ります。ここが甘いと「誰に送ったか分からない一斉配信」になり、個別の満了日が入れられません。個別の日付が入るかどうかで反応率は大きく変わります。
制度に関わる案内文の注意
車検制度や電子車検証、OSS(自動車保有関係手続のワンストップサービス)などの制度は改正されることがあります。本記事の記載は2026年時点の一般的な情報であり、最新の内容は国土交通省・運輸支局など所管省庁、または専門家にご確認ください。案内文に制度の説明を載せる場合は、文面をシステム側で一括更新できるようにしておくと改正時の対応が楽になります。
整備履歴のデジタル化と「次回提案」への活用
整備履歴は「記録しておくもの」ではなく「次の提案の材料」です。ここを理解しているかどうかで、システムの投資対効果は数倍変わります。
履歴があると提案が変わる
紙の作業指示書がキャビネットにある状態では、フロントで顧客と話しているその場では参照できません。結果として、提案は整備士の記憶頼みになります。履歴がすぐ引ける状態なら、こうした会話が可能になります。
- 「前回の車検から2万km走っていますね。ブレーキパッドはそろそろです」
- 「バッテリーは3年前の交換なので、今回一緒に見ておきましょうか」
- 「タイヤは前回そのままでしたが、溝が残り少ないはずです」
これは押し売りではなく、記録に基づいた整備提案です。顧客からすれば「ちゃんと見てくれている工場」という評価になり、次回も戻ってくる理由になります。履歴のデジタル化は、客単価と再来率の両方に効く数少ない施策です。
「次回推奨事項」を必ず残す
作業履歴に加えて、次回への申し送りを1行残す運用を作ってください。「次回タイミングベルト要交換」「クーラント次回交換推奨」といったメモです。これが次回入庫時に自動で表示されれば、担当者が変わっても提案の質が落ちません。
この「次回推奨事項の自動表示」は、既製の整備ソフトでは項目が用意されていなかったり、フリーメモ欄に押し込むしかなかったりすることが多い部分です。自社の提案スタイルを本気で仕組み化したい場合、カスタム開発を検討する具体的なきっかけになります。
写真とセットで残す
スマートフォンで撮った作業前後の写真を、その車両の履歴に紐づけて保存できるようにすると、説明の説得力が大きく変わります。特に鈑金や下回りの錆など、口頭では伝わりにくい部分の説明で効果が出ます。
見積・請求・入庫スケジュールまでつなげる
二重入力をなくすのが最大の効果
多くの整備工場で、同じ情報が最低3回入力されています。見積書、作業指示書、請求書です。これを1つのデータから生成するようにすれば、入力は1回で済みます。
| 書類 | 従来の作り方 | システム化後 |
|---|---|---|
| 見積書 | 整備メニュー表を見ながら手入力 | メニュー選択+部品検索で自動計算 |
| 作業指示書 | 見積を見ながら書き写し | 見積からワンクリック生成 |
| 請求書 | 実績を見ながら再入力 | 作業実績から自動生成 |
| 整備記録簿 | 別途手書き | 作業実績から必要項目を出力 |
入庫スケジュールで繁忙期を平準化する
整備工場の売上は3月と9月に集中しがちです。ピットと人員には物理的な上限があるため、集中しすぎると受けきれず、断った分がそのまま機会損失になります。
ここで効くのが、案内タイミングを工場の空き状況に合わせて調整するという発想です。満了日90日前から案内を始められるなら、繁忙月の顧客には早めに案内して前倒し入庫を促せます。これは満了日データと入庫予約データが同じシステムにあって初めて可能になります。
※ 上記は一般的なモデルケースであり、成果を保証するものではありません。
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既製の整備ソフト vs カスタム開発
ここが最も判断に迷うところです。先に結論を書きます。整備工場の基本業務だけなら、既製の整備ソフトで十分足りるケースが多いです。無理にカスタム開発を選ぶ必要はありません。
比較表
| 比較軸 | 既製の整備ソフト/SaaS | カスタム開発 |
|---|---|---|
| 初期費用 | 0〜30万円 | 80〜500万円 |
| ランニング | 月5千〜5万円 | 月1〜5万円(保守) |
| 導入期間 | 即日〜1ヶ月 | 2〜6ヶ月 |
| 業務への適合 | ソフトに業務を合わせる | 業務にシステムを合わせる |
| 独自業務への対応 | 基本的に不可 | 可能 |
| 他システム連携 | 提供されている範囲のみ | 会計・LINE・部品商システム等と接続可 |
| 法改正対応 | ベンダーが自動対応 | 都度改修(保守契約に含める形も可) |
| サービス終了リスク | あり(乗り換えが必要) | なし(資産として保有) |
| 向いている工場 | 標準的な車検・整備が業務の中心 | 独自運用・複数事業・複数拠点がある |
既製ソフトで足りるケース(正直に書きます)
- 業務が「車検・点検・一般整備」に収まっており、特殊な運用がない
- 拠点が1ヶ所で、スタッフが10名以下
- 会計は会計ソフトで完結しており、連携の必要性が薄い
- まず紙をやめることが目的で、細かい最適化は後回しでよい
この条件に当てはまるなら、既製の整備ソフトを試すのが最短ルートです。月額数千円から始められる製品もあり、合わなければ乗り換えるという選択も取れます。いきなり数百万円の開発を検討する必要はありません。
既製ソフトが「合わない」典型パターン
整備+販売+鈑金の複合
新車・中古車販売や鈑金塗装も手掛けており、車両の在庫管理や下取り情報まで同じ台帳で扱いたい。整備専用ソフトでは在庫側が空白になる。
法人フリート顧客が多い
1社で数十台を管理する法人顧客がおり、「社用車一覧」「部署別の請求分割」など、個人客とは別の見せ方が必要。
レンタカー・代車を事業として持つ
代車の貸出管理が業務の一部になっており、整備入庫と代車在庫が連動しないと現場が回らない。
複数拠点・複数法人
2〜3拠点あり、顧客は共通だが売上は拠点別に見たい。既製ソフトの多くは単一拠点前提で権限設計が足りない。
独自の会員制度がある
メンテナンスパック、オイル交換無料会員など独自プランを持ち、残回数の管理や自動割引が必要。
既存の会計・部品発注と繋ぎたい
すでに使っている会計ソフトや部品商のシステムと自動連携し、二重入力を完全になくしたい。
「既製+カスタム」という中間解もある
実務でよく採る形が、既製の整備ソフトを基幹として残し、足りない部分だけカスタムで作るという構成です。たとえば見積・請求は既製ソフトのまま、案内自動化とLINE連携だけを独自開発し、両者をデータ連携でつなぐ。この方法なら初期費用を大きく抑えつつ、いちばん困っている部分だけを解決できます。
相談をいただいた際、当社がまず確認するのは「今使っているソフトを本当に捨てる必要があるか」です。捨てなくていいなら残します。連携で解決できる問題に、全面刷新を提案することはありません。詳しくはスクラッチ・パッケージ・SaaSの選び方もご覧ください。
費用相場と導入期間の目安
カスタム開発の費用レンジ
| 範囲 | 主な機能 | 費用目安 | 期間 |
|---|---|---|---|
| ミニマム | 顧客・車両台帳+満了日抽出+宛名CSV出力 | 80〜150万円 | 2〜3ヶ月 |
| 標準 | 上記+整備履歴+見積・請求+入庫カレンダー | 180〜300万円 | 3〜5ヶ月 |
| 拡張 | 上記+LINE配信連携+会計連携+複数拠点対応 | 300〜500万円 | 5〜8ヶ月 |
| 既製連携型 | 既存ソフトを残し、案内自動化のみ独自開発 | 50〜120万円 | 1〜3ヶ月 |
| 保守(年額) | 障害対応・小改修・バージョン追随 | 開発費の10〜15% | 継続 |
※ 上記は一般的なモデルケースであり、成果を保証するものではありません。実際の費用は要件・データ移行量・連携先によって変動します。
見落としがちなコスト
- データ移行:紙台帳をどこまでデジタル化するか。全件入力なら外注費が別途かかります
- ハードウェア:ピットで使うタブレット、レシートプリンタ、スキャナ
- ネットワーク:工場内のWi-Fi。鉄骨・シャッターで電波が届かない現場は要工事
- 教育コスト:ベテラン整備士の慣熟期間。ここを軽く見ると定着しません
投資回収の考え方
整備工場の場合、回収の計算は比較的しやすい構造になっています。「取りこぼしていた顧客が何台戻れば元が取れるか」で見ればよいためです。仮に車検1台あたりの粗利を4万円、開発費を200万円とすると、年間50台の取り戻しで1年、25台なら2年で回収という単純な試算になります。
加えて、事務作業の削減分も乗ります。案内リスト作成と宛名処理に月2日かかっていたなら、年間24日。これが人件費換算で数十万円です。詳しい考え方は業務システム化の費用対効果(ROI)で解説しています。
導入を成功させる6ステップ
- 現状の棚卸し(2〜4週間)
今どこに何のデータがあるか、誰が何の作業をしているかを書き出します。ここを飛ばすと、後で必ず「あの帳票が抜けていた」が起きます。 - 優先順位づけ(1週間)
すべてを一度に解決しようとせず、「取りこぼし防止」を最優先に据えます。目的が1つに絞れているプロジェクトは、ほぼ失敗しません。 - 既製ソフトの検討(2〜3週間)
先に既製品を試します。無料トライアルで自社の実データを入れてみて、どこが合わないかを具体的に把握します。この「合わない一覧」が、そのまま要件定義の材料になります。 - 要件定義(3〜6週間)
カスタム開発に進む場合、画面イメージまで作って合意します。要件定義の進め方も参考にしてください。 - データ移行と並行稼働(1〜2ヶ月)
いきなり紙をやめず、1〜2ヶ月は紙とシステムを並行させます。満了日の入力精度をこの期間に固めます。 - 本稼働と改善(継続)
稼働後3ヶ月は必ず微修正が出ます。保守契約にこの改修枠を含めておくと、追加見積のやりとりで止まりません。
よくある失敗パターンと回避策
失敗1:機能を盛りすぎて、いつまでも動かない
「どうせ作るなら在庫も勤怠も」と広げた結果、要件がまとまらず1年経っても稼働しない——最も多い失敗です。回避策は明確で、最初のリリースは「顧客・車両・満了日・案内リスト」の4点だけに絞ること。動くものが現場に入れば、次に何が必要かは自然に見えてきます。
失敗2:現場が使わず、Excelに戻る
フロントや整備士が「前のやり方のほうが早い」と感じた時点で、システムは使われなくなります。原因はほぼ「入力項目が多すぎる」ことです。ピットで使う画面は、必須項目を3つ以内に抑えるくらいで丁度いい。詳しくはITツールが現場で使われない理由で解説しています。
失敗3:データ移行を甘く見る
「紙台帳は500件だから、すぐ入るだろう」と考えて、実際は1件5分×500件=約42時間。通常業務の合間にやると2ヶ月かかります。移行は独立したタスクとして計画し、必要なら入力を外部委託すると割り切ったほうが結果的に早く済みます。
失敗4:ベテランを巻き込まない
ベテラン整備士の頭の中には、顧客の癖・車の履歴・地域の事情が全部入っています。この属人化した知識を無視して設計すると、現場で必要な項目が抜け落ちます。逆に、最初から巻き込めば最強の味方になります。属人化業務のシステム化も参考にしてください。
失敗5:担当者を決めずに始める
「みんなで進める」は「誰も進めない」と同義です。社内に1人、意思決定できる担当を置いてください。専任である必要はありませんが、仕様の判断を即断できる立場の人であることが重要です。
失敗パターンを5つ挙げましたが、共通する根っこは1つです。「何のために作るのか」が曖昧なまま進むこと。目的を「車検の取りこぼしをゼロに近づける」の一文に固定できれば、機能の取捨選択も、現場への説明も、驚くほどシンプルになります。
自社に合うシステムの選び方チェックリスト
最後に、判断に使えるチェックリストを置きます。「はい」が多いほどカスタム開発の検討価値が高くなります。
- 整備以外に、販売・鈑金・レンタカーなど複数の事業を持っている
- 法人フリート顧客がいて、個人客とは異なる管理・請求が必要
- 拠点が2ヶ所以上ある、または将来増やす予定がある
- 独自のメンテナンス会員制度・パック商品を運用している
- すでに使っている会計ソフトや部品発注システムと連携したい
- 過去に既製ソフトを導入したが、合わずに使わなくなった経験がある
- 案内の出し分け(顧客層別・車種別)を細かくやりたい
- 10年以上使い続ける前提で、資産として持ちたい
逆に、上記がほとんど当てはまらず「まず紙をやめたい」が目的なら、既製の整備ソフトから始めるのが正解です。当社に相談いただいた場合でも、その判断であればはっきりそうお伝えします。
相談前に用意しておくとスムーズなもの
- 現在使っている台帳・Excelのサンプル(1〜2件分でOK、個人情報は伏せて可)
- 年間の車検台数と、おおよその顧客件数
- いま一番困っている作業(1つで構いません)
- スタッフ人数とPC・タブレットの台数
これらが揃っていなくても相談は可能です。「何から手をつけていいか分からない」という状態からのご相談も多くいただいています。どこからDXすべきか分からない方へも併せてどうぞ。
紙の台帳が1,000件以上あります。全部入力しないと使えませんか?
いいえ。現実的な進め方は「これから車検を迎える順」に入力していく方式です。直近12ヶ月に満了日が来る車両から入力すれば、1年で自然と全件が入ります。最初から全件を入れる必要はありません。急ぐ場合はデータ入力を外部委託する方法もあります。
整備士がパソコンを使えません。導入できますか?
可能です。むしろそういう現場ほど、入力画面の設計が重要になります。タブレットで数字を選ぶだけ、写真を撮るだけ、といった操作に絞り込めば、キーボード入力なしでも運用できます。フロント担当が入力し、整備士は閲覧のみ、という役割分担にする工場も多くあります。
今使っている整備ソフトのデータは引き継げますか?
多くの場合は可能です。CSVエクスポート機能があれば、顧客・車両・満了日は基本的に移行できます。ただしソフトによってはエクスポートに制限がある場合があるため、事前に出力形式を確認する必要があります。ご相談いただければ一緒に確認します。
LINEでの車検案内は、どのくらいの規模から意味がありますか?
顧客数が数百件規模でも効果は出ます。むしろ小規模なほど、ハガキ代の削減効果と手間の削減が相対的に大きくなります。ただし、既存顧客にLINEの友だち追加をしてもらう導線づくりが前提になるため、来店時の声かけルールとセットで設計することをおすすめします。
相談だけでも大丈夫ですか?
もちろん大丈夫です。「システムを作るべきか、既製品で足りるのか」を判断するための相談として使っていただいて構いません。初回相談・お見積りは無料で、その後の売り込みも行いません。既製ソフトで解決できると判断した場合は、そのようにお伝えします。
滋賀県外・遠方でも対応できますか?
対応可能です。当社は滋賀県大津市を拠点としていますが、オンラインでの打ち合わせを中心に全国のお客様を支援しています。要件定義や画面確認はビデオ会議と画面共有で問題なく進められます。現地確認が必要な場合はご相談ください。
費用はどのくらいからでしょうか?
本記事の費用表のとおり、既存ソフトを残して案内自動化だけを作る構成であれば50〜120万円程度、顧客・車両台帳から作る場合は80万円程度からが目安です。ご予算に上限がある場合は、その範囲で何ができるかを優先順位づけしてご提案します。予算をお伝えいただいたほうが話が早く進みます。
作った後の保守はお願いできますか?
はい。障害対応や小さな改修を含む保守契約をご用意しています。整備工場のシステムは、稼働後に「この項目も欲しい」が必ず出てくるため、月次の改修枠を含む形が現実的です。詳しくはシステム保守とはもご覧ください。
車検の取りこぼしをなくす仕組みづくり、無料相談
紙台帳やExcelの現状をお聞きして、既製ソフトで足りるのか、カスタム開発が必要なのかを率直にお伝えします。滋賀県内はもちろん、全国オンライン対応。売り込みは一切しません。
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