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中小企業のセキュリティ対策|今すぐやるべき8項目と費用相場【2026年最新】

中小企業のセキュリティ対策|今すぐやるべき8項目と費用相場【2026年最新】
この記事の要点
  • 中小企業のセキュリティ対策は「全部やる」より「順番を間違えない」ことが重要。まずやるべきは8項目に絞り込める。
  • 最優先はIT資産の棚卸・多要素認証(MFA)・バックアップの3点。この3つで被害の入口の大半を塞げる。
  • ランサムウェアで本当に困るのは暗号化より、何が漏れたか説明できないこと。取引先への説明責任が経営を止める。
  • 情報セキュリティ対策の費用は、20名規模で初期20〜80万円+月額2〜8万円、100名規模で初期80〜300万円+月額10〜40万円が目安。
  • 取引先のチェックシートは「満点」ではなく「正直な現状+改善計画」で通ることが多い。

結論:中小企業のセキュリティ対策でつまずく最大の原因は、製品選びでも予算不足でもなく「自社に何があって、誰が使い、どこが弱いか」を誰も把握していないことです。ここを1日かけて棚卸しするだけで、買うべきものと買わなくていいものが分かれます。

本記事では従業員10〜100名規模の経営者・情シス兼任者の方に向けて、今すぐ着手すべき8項目を優先順位つきで整理し、ランサムウェア被害の進行、規模別の費用相場、取引先チェックシートへの答え方までを順に解説します。

※ 本記事は2026年時点の一般的な情報です。個人情報保護法をはじめとする法令・制度の最新の解釈や運用は、所管省庁や弁護士・税理士等の専門家にご確認ください。記載した効果・数値は一般論であり、成果を保証するものではありません。

こんなお悩みはありませんか?
  • 取引先から「セキュリティチェックシート」が届いたが、半分以上の項目に何と書けばいいか分からない
  • 「ウイルス対策ソフトは入れている」以外、社内の対策を説明できない
  • ランサムウェアの話は聞くが、自社が何をされるのか想像がつかない
  • 情シス専任者がおらず、詳しい社員1人に集中している。辞めたら誰も分からない
  • セキュリティ製品の提案を受けたが、金額が妥当か・必要か判断できない
  • 退職者のアカウントが今も生きている気がするが、確認する手段がない

1つでも当てはまるなら、この記事が役に立ちます。読む時間がない方は、無料相談で直接お答えします。

目次

なぜ今、中小企業が狙われるのか

サプライチェーン攻撃とは、大企業を直接攻めるのではなく、出入りする取引先・委託先の中小企業を踏み台にして侵入する手法です。守りが薄い側から入るのが定石になっています。

「うちみたいな小さい会社を狙っても意味がない」は、10年前ならある程度正しい感覚でした。しかし今の攻撃の主流は、インターネットに露出した機器を自動でスキャンし、既知の弱点が残る先に片っ端から入り込むやり方です。規模も業種も関係なく「入れるかどうか」で選ばれます。

もう一つが取引先経由の侵入です。大企業や官公庁が守りを固めた結果、攻撃者の関心は委託先・下請けに移りました。自社が預かる取引先の図面や顧客名簿は、攻撃者にとって十分な価値があります。

中小企業に共通する3つの弱点

  • 誰も全体を把握していない:どの端末に何が入り、どのクラウドに誰のIDがあるかの一覧がない
  • 兼任情シスに集中している:総務や製造の担当者が「PCに詳しいから」と片手間に見ている属人化の典型
  • 入口だけ見て出口を見ていない:対策ソフトは入っているが「入られた後に気づく」仕組みがない

よくある誤解:「クラウドだからうちは大丈夫」
クラウド側の設備は堅牢です。しかし実際の被害の多くは、サービスの不具合ではなく利用者側のID・パスワードが盗まれて正規ログインされることで起きています。クラウド化はセキュリティ対策の代わりにはなりません。

何から始めるか|8項目の優先順位

セキュリティ対策の優先順位とは、限られた予算と人手の中で「実害を減らす効果 ÷ 導入の負担」が大きい順に並べた実行順のことです。すべてを同時にやろうとすると、必ず途中で止まります。

解説記事は「やるべきこと20項目」を並べて終わりがちです。読んだ経営者が思うのは「で、どれから?」。ここでは実務で回る順番として8項目に絞ります。

優先度項目主な効果着手の負担
最優先1. IT資産の棚卸すべての判断の土台。抜け漏れが見える
最優先2. 多要素認証(MFA)ID窃取による侵入をほぼ止める小〜中
最優先3. バックアップ見直し暗号化されても事業が止まらない
4. EDRの導入入られた後に気づける/止められる
5. 更新管理既知の弱点を突く自動攻撃を防ぐ
6. 権限の整理被害範囲を最小化。退職者IDを潰す
7. 従業員教育メール起点の被害を減らす
8. インシデント対応手順混乱と説明責任リスクを減らす小〜中

理由はシンプルです。1〜3は「起きたら会社が止まる」被害を直接防ぎ、しかも高額な製品を買わなくても着手できるから。いきなり高機能な製品を入れても、棚卸ができていないと導入漏れの端末が残り、そこから入られます。

1〜3まず着手すべき項目
3ヶ月8項目を一巡する期間

【1〜3】IT資産の棚卸・多要素認証・バックアップ

IT資産の棚卸とは、社内のPC・サーバー・ネットワーク機器・クラウドサービス・アカウントを一覧化し、管理者と用途を明確にする作業です。セキュリティ対策のすべてはここから始まります。

項目1:IT資産の棚卸(費用ゼロで今日できる)

「何を守るか分からないまま守り方を買う」のが最も多い失敗です。表計算ソフト1枚で構いません。次を埋めてください。

  1. 端末:PC・タブレット・スマホの台数、OS、使用者名、持ち出しの有無
  2. サーバー・NAS:置き場所、中身、インターネットから見える状態か
  3. ネットワーク機器:ルーター・VPN機器・無線APの型番とファームウェア最終更新日
  4. クラウドサービス:会計、勤怠、チャット、ストレージ、EC管理画面など。契約者と支払い方法も
  5. アカウント:各サービスに誰のIDがあるか。退職者・異動者のIDが残っていないか
  6. 外部委託:サイトやシステムの保守先。連絡先と契約範囲

この作業では高確率で見つかります——数年前の退職者のIDが生きている、誰も管理していない古いNASが外から見える、「あの人しか触れない」サーバーがある、契約した覚えのないクラウド利用料が続いている。

項目2:多要素認証(MFA)を全社で有効にする

多要素認証(MFA)とは、IDとパスワードに加えて、スマホアプリの数字コードや生体認証など「もう一つの要素」を要求する仕組みです。パスワードが盗まれても、それだけではログインできなくなります。

費用対効果で言えばこれに勝るものはほぼありません。多くのクラウドサービスは追加費用なしで設定できます。優先順位は次の通り。

最優先

メール・グループウェア

侵入されると全社のやり取りが読まれ、取引先へのなりすまし請求詐欺に直結します。

最優先

VPN・リモート接続

社外から社内に入る扉。ID・パスワードだけの運用は鍵をかけていないのと同じです。

クラウドストレージ

図面・契約書・顧客名簿の置き場所。漏えい時の影響が最も説明しづらい領域です。

会計・銀行・EC管理画面

金銭に直結。ネットバンキングと通販サイトの管理画面は必須と考えてください。

よくある反対意見は「現場が面倒がる」。落とし所は社内からは追加認証を省略し、社外からだけ求める設定です。多くのサービスで条件付き設定が可能です。

項目3:バックアップを「戻せる状態」にする

バックアップを取っている会社は多いのですが、被害時に問題になるのは「そのバックアップも一緒に暗号化されていた」ケースです。社内NASへ自動同期しているだけでは共倒れします。

チェック項目NGな状態目指す状態
保存場所社内NAS 1か所のみ社内+社外(クラウドや外付けを物理的に外す)
接続常時つながっている少なくとも1世代は切り離す
世代上書き1世代のみ日次・週次・月次で複数世代
復旧テストやったことがない年1回以上、実際に戻して確認
対象ファイルサーバーだけ基幹システムやクラウド上のデータも

復旧テストをやっていないバックアップは、バックアップとは呼べません。「ファイルはあるが業務システムに戻す方法が分からない」例は珍しくありません。年1回、半日でいいので実際に戻す訓練を。

「うちの場合、どこから手をつけるべき?」を無料で整理します

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【4〜6】EDR・更新管理・アカウント権限の整理

EDRとは、PCやサーバー上の不審な挙動を検知・記録し、必要なら隔離する仕組みです。従来型の対策ソフトが「既知の悪いファイルを入れない」役割なのに対し、EDRは「入られた後に気づいて止める」役割を担います。

項目4:EDR — 「入られた後」の備え

従来型のウイルス対策ソフトだけでは、未知の手口や正規ツールを悪用する攻撃を止めきれません。実際の被害では、侵入から暗号化までに数日から数週間、社内を偵察していることが少なくありません。EDRの価値は、この潜伏期間に異変を捉えられる点にあります。

もう一つ重要なのが記録が残ることです。被害後、取引先に「どこから入られ、どのデータに触れられたか」を説明する必要が出ます。ログがなければ「分かりません」としか言えません。

  • 導入形態は「自社で監視」か「監視込みの外部サービス(MDR)」の2択。専任者がいなければ後者
  • 全端末に入れないと意味が薄い。だからこそ項目1の資産棚卸が先
  • アラートが鳴った時に誰が判断するかを決めてから導入する。放置が最多の失敗

項目5:更新管理(パッチ適用)

無差別攻撃の大半はすでに修正プログラムが公開されている弱点を突いてきます。更新を当てているだけで、相当数の攻撃は空振りに終わります。

Windows / macOS90%
業務ソフト45%
VPN機器・ルーター25%

※ 上記は一般的なモデルケースであり、成果を保証するものではありません。

OSは自動更新される一方、VPN機器・ルーター・NASのファームウェアは何年も放置されがちです。しかもこれらは外から直接見える位置にあります。優先度は端末より高いと考えてください。

すぐに確認すべき3点
1. VPN機器・ルーターのファームウェア最終更新日
2. メーカーのサポートが終了していないか
3. 管理画面のパスワードが初期値のままでないか
サポート終了機器は修正プログラム自体が出ません。買い替え計画が必要です。

項目6:アカウント権限の整理

最小権限の原則とは、各利用者に業務上必要な範囲だけの権限を与える考え方です。全員が管理者権限を持つ状態は、1人が侵害されれば全社が侵害されるのと同じです。

権限整理は費用がかからないのに効果が大きい項目です。次の4点を確認してください。

  1. 退職者・異動者のアカウント:退職手続きのチェックリストに「アカウント停止」が入っているか
  2. 管理者権限の保有者:本当に必要な人だけか。日常業務用と管理作業用でアカウントを分けているか
  3. 共有アカウント:「営業部共通ID」の使い回しは誰が何をしたか追えなくなる。可能な限り個人IDへ
  4. 外部委託先のアカウント:保守業者に渡したIDが契約終了後も生きていないか

権限整理は年1回の「棚卸イベント」にすると続きます。異動時期に全サービスのユーザー一覧を出力し、在籍者リストと突き合わせるだけでも効果的です。

【7〜8】従業員教育・インシデント対応手順

インシデント対応手順とは、事故が疑われたときに「誰が・何を・どの順番で」行うかを事前に決めた文書です。1枚の紙で構いませんが、無いと当日に必ず混乱します。

項目7:従業員教育は「短く・繰り返す」

年1回2時間の集合研修より四半期に1回15分のほうが確実に効きます。扱うべき内容は多くありません。

最重要

振込先変更メールは電話で確認

取引先を装う口座変更の手口は被害額が大きくなりがち。既知の電話番号へ確認する運用を徹底します。

重要

怪しいと思ったら報告して良い

「開いてしまった」と言い出せない空気が最も危険。報告者を責めないルールを明文化します。

重要

パスワードを使い回さない

別サービスから漏れた文字列で社内に入られる例が多発。パスワード管理ツールが現実的な解です。

実務

私物端末・USBのルール

禁止しても現場は使います。「どこまで良いか」を決めて周知するほうが守られます。

項目8:インシデント対応手順(1枚の紙で足りる)

事故当日、最初の1時間の判断がその後を左右します。次の内容を1枚にまとめ、紙で印刷して掲示してください。社内システムが止まった状況では、社内に保管したデータは読めません。

タイミングやること担当(例)
気づいた人電源は切らずLANを抜く/Wi-Fiを切る。すぐ上長へ報告発見者
15分以内社内責任者へ報告。他端末の状況を確認情シス兼任者
1時間以内保守委託先・専門業者へ連絡。バックアップの隔離を確認責任者
当日中事実の時系列メモを開始(誰が何時に何を見たか)責任者
翌日以降取引先への報告要否を判断。必要なら専門家へ相談経営層

「電源を切らない」のはなぜか
電源を落とすとメモリ上の痕跡が消え、「何をされたか」の調査が困難になります。一方で通信の切り離しは被害拡大を止めるために必要です。まず通信を止める、が原則。機器や状況で最適解は変わるため、可能なら専門家の指示を仰いでください。

ランサムウェア被害の実際の流れ

ランサムウェアとは、社内データを暗号化して使えなくし、復旧と引き換えに金銭を要求する攻撃です。近年はデータを盗み出して「公開されたくなければ払え」と迫る二重の脅迫が一般化しています。

「感染したら暗号化される」までは多くの方がご存じです。しかし実際に会社を苦しめるのはそこから先。一般的な進行を時系列で示します。

時期起きることその時の現場
数週間前VPN機器や窃取IDから侵入。偵察し管理者権限を奪取誰も気づいていない
数日前重要データを外部へ持ち出し。バックアップを特定し破壊通信量の増加に気づかない
当日 朝一斉に暗号化。ファイルサーバー・基幹システムが停止「開かない」の問い合わせが殺到
当日 午後脅迫文を発見。役員へ報告し専門業者を探し始める受注・出荷・請求が止まる
2〜5日目調査開始。取引先から「大丈夫か」の連絡「何が漏れたか」に答えられない
1〜3週目優先業務から手作業で復旧。並行してシステム再構築残業と手作業で現場が疲弊
1〜3ヶ月取引先への説明、再発防止策の提出、監査対応経営層の時間が丸ごと奪われる

※ 上記は一般的なモデルケースであり、成果を保証するものではありません。

本当のダメージは「説明できないこと」

技術的な復旧は、バックアップが無事なら数日〜数週間で目処が立ちます。しかし取引先が知りたいのは「うちが預けた図面・顧客情報は漏れたのか」です。ログが無ければ「調査中です」を繰り返すしかなく、それが数週間続けば取引継続そのものが検討対象になります。EDRやログ保全に投資する本当の理由は、防御力より説明責任を果たせる状態を作ることにあります。

身代金は支払っても復旧の保証がなく、二重に要求される事例も報告されています。判断は経営マターであり、警察・専門家への相談を前提に。本記事は支払いを推奨も否定もしません。

情報セキュリティ対策の費用相場(規模別)

情報セキュリティ対策の費用は、初期費用(機器・設定・設計)と継続費用(ライセンス・監視・保守)に分かれます。中小企業では継続費用が総額に効くため、初期見積だけで判断しないことが重要です。

従業員規模別のトータル目安

規模初期費用月額(継続)主な範囲
〜10名10〜40万円1〜4万円MFA、バックアップ、EDR、更新管理
20名前後20〜80万円2〜8万円+権限整理、VPN機器更新、手順書
50名前後50〜180万円6〜20万円+ログ集約、監視付きEDR、教育
100名前後80〜300万円10〜40万円+資産管理の自動化、監査対応、規程

※ 上記は一般的なモデルケースであり、成果を保証するものではありません。既存環境・拠点数・業種要件により大きく変動します。

項目別の費用感

項目費用の目安備考
1. IT資産の棚卸0〜30万円自社実施なら0円
2. 多要素認証(MFA)0〜20万円無償設定できる場合が多い
3. バックアップ再設計20〜150万円容量課金が月額に乗る
4. EDR(監視なし/監視付き)月700〜6,000円/台MDRが現実解
5. 更新管理・VPN機器更新15〜160万円サポート終了機器の入替含む
6. 権限整理・ID管理0〜100万円手作業なら0円
7. 従業員教育3〜30万円/年教材・訓練メール配信
8. 手順書・規程整備10〜60万円監査対応込みなら上限寄り

※ 上記は一般的なモデルケースであり、成果を保証するものではありません。

見積は3点に注意を。①「一式」は分解してもらう(初期と月額、ライセンスと作業費、監視の有無)。②台数課金は3年後で試算する(拠点追加や採用で膨らむ)。③運用工数も費用に含める(アラート確認の時間を見ずに安いほうを選ぶと兼任情シスが破綻します)。投資判断の考え方は業務システム化の費用対効果(ROI)もご覧ください。

受け取った見積が妥当か、第三者の目で確認しませんか

提案書を拝見し、過不足・重複・運用負荷の観点で整理します。無料・オンライン可、当社サービスの売り込みはいたしません。

無料で相談する

取引先チェックシートへの回答準備

セキュリティチェックシートとは、取引先が委託先・仕入先の情報管理体制を確認するために配布する質問票です。回答内容が取引継続や新規採用の判断材料になります。

「届いたが何を書けばいいか分からない」——中小企業がセキュリティ対策を始める最も多いきっかけです。大事なのは全項目に「実施済」と書く必要はないという点です。

チェックシートで見られている本質

1

責任者がいるか

技術力より「誰が責任を持っているか」。兼任でも構いません。名前が書けることが重要です。

2

現状を把握しているか

「分かりません」が並ぶのが最大の減点。未実施でも実態を正確に答えられるほうが評価されます。

3

改善の計画があるか

未実施項目に「◯年度中に対応予定」と書けるか。計画が書けると多くの場合は通過します。

4

事故時に連絡できるか

何時間以内に、誰へ、どう連絡するか。ここが空欄だと取引先にとって最も怖い相手になります。

よく問われる項目と、答えるために必要な準備

質問の例答えるために必要なもの該当項目
情報セキュリティの責任者は誰か役割の明記(兼任可)
PC・サーバーの管理台帳はあるか資産一覧表項目1
外部アクセスに多要素認証を使っているかMFAの設定状況項目2
バックアップの取得頻度と保管場所バックアップ設計の記録項目3
マルウェア対策とログ保管期間EDR/対策ソフトの契約内容項目4
OS・ソフトの更新管理の方法更新管理の運用ルール項目5
退職者のアカウント停止時期退職時チェックリスト項目6
従業員への教育実施状況実施記録(日付・対象・内容)項目7
事故発生時の連絡体制と初動インシデント対応手順書項目8
再委託先の管理方法委託先一覧と契約書の該当条項項目1

本記事の8項目を進めることが、そのままチェックシートの回答準備になります。異なる様式が複数届く場合は、社内に「回答の原本」を1つ作っておくと運用が一気に楽になります。

誠実に「未実施」と書いたほうが良い理由
未実施の項目に「実施済」と書き、後に事故が起きれば虚偽申告として契約上の責任問題に発展しかねません。未実施+対応予定時期のほうが長期的には信頼を得られます。契約条項の解釈は契約内容で異なるため、重要な取引では弁護士等にご確認ください。

既製サービス vs 自社に合わせた設計

既製のセキュリティサービスは、標準的な業務環境を前提にパッケージ化された対策です。多くの中小企業はこれで十分ですが、独自の業務システムや特殊な運用がある場合は、その部分だけ個別設計が必要になります。

はっきり申し上げると、8項目の大部分は既製サービスと社内運用の見直しで対応できます。何でもカスタム開発すべき、という話ではありません。判断基準を整理します。

観点既製サービス中心自社に合わせた設計・開発
向くケース市販ソフト・一般的なクラウド中心の環境自社開発の業務システムや独自の権限体系がある
初期費用10〜80万円80〜500万円
月額1〜10万円3〜20万円
導入速度数日〜1ヶ月1〜4ヶ月
柔軟性製品仕様に業務を合わせる業務に合わせて設計できる
ログ・監査対応製品が出せる範囲まで監査で求められる形式に整えられる
弱み独自システムは対象外になりがち費用と期間がかかる。過剰投資のリスク

※ 上記は一般的なモデルケースであり、成果を保証するものではありません。

既製で十分なケース(正直にお伝えします)

  • 業務が会計・勤怠・グループウェアなど市販のクラウドサービス中心で完結している
  • 社内に独自開発のシステムやデータベースが無い、または既に廃止済み
  • 取引先から求められている水準が、一般的なチェックシートの範囲に収まっている

この条件なら、MFA有効化・バックアップ見直し・EDR導入・更新管理の4つを既製サービスで固めるのが最短かつ最安です。無理に開発を挟む必要はありません。

自社に合わせた設計が必要になるケース

  • 自社開発の基幹システムのアクセスログが取れていない:監査で必ず突かれる部分。既製ツールでは中身まで見えません
  • 権限設計が業務実態と合っていない:全員が全データを見られる状態。役割に応じた再設計が必要
  • 複数システムのIDがバラバラ:退職者の停止漏れが構造的に起きる。ID連携の整理が要る
  • 作った会社と連絡が取れないシステムがある:引き継ぎ・改修の判断から必要になる
  • 求められる証跡が現行システムから出力できない:出力機能の追加開発で解決することが多い領域

LUCRISの立ち位置
当社は滋賀県大津市を拠点に、中小企業の業務システム開発とDX支援を行っています。製品を売るのではなく、業務と既存システムを踏まえて、既製で足りる部分と個別対応が要る部分を切り分けるところからご一緒します。既製で十分なら正直にそうお伝えします。他社が開発したシステムの引き継ぎ・改修、ログ出力機能の追加、権限体系の作り直しといった既存システムに手を入れる領域も対応可能です。全国オンライン対応。

既製と個別開発の考え方はスクラッチ・パッケージ・SaaSの違い内製化と外注の判断基準もご覧ください。

相談前に整理しておくと話が早い3つ

相談前の準備とは、相談前に自社で用意しておくと初回の打ち合わせで優先順位と概算費用まで話が進む情報のことです。完璧である必要はありません。

「何も分かっていない状態で相談していいのか」とよく聞かれます。もちろん構いません。ただ次の3つがあると初回から具体的に話せます。

1

ざっくりの資産リスト

PC台数、サーバーの有無、使っているクラウド名、VPNの有無。表計算1枚、空欄があって構いません。

2

きっかけになった出来事

チェックシート、営業提案、社内でのヒヤリ。動機がはっきりすると必要な範囲が絞れます。

3

予算感と期限

「今期は50万円まで」「来月末までに回答が必要」。制約があるほうが現実的な提案ができます。

3ヶ月の進め方(モデルケース)

  1. 1ヶ月目:資産棚卸/MFA有効化/バックアップ現状確認(0〜20万円)
  2. 2ヶ月目:バックアップ再設計/EDR導入/VPN機器の点検(30〜150万円)
  3. 3ヶ月目:権限整理/更新管理の運用化/手順書・教育(10〜60万円)
  4. 以降:年1回の棚卸・復旧テスト・教育を定例化(月2〜10万円)

※ 上記は一般的なモデルケースであり、成果を保証するものではありません。

3ヶ月で一巡すれば、チェックシートの主要項目には答えられます。完璧を目指して着手が遅れるより粗くても一周させて翌年に精度を上げるほうが速く進みます。よくある失敗は「高機能な製品を先に買う」「アラートを見る人を決めない」「全部を1人に任せる」。最後は属人化を解消する手順もご覧ください。

相談だけでも大丈夫ですか?

はい、相談だけで問題ありません。ご相談・お見積りは無料で、その場での契約をお願いすることもありません。「チェックシートが届いたが何から手をつければいいか」「受けた提案が妥当か見てほしい」だけでも歓迎します。既製サービスで十分なら、正直にそうお伝えします。

滋賀県外・遠方でも対応できますか?

対応可能です。滋賀県大津市を拠点としていますが、オンライン会議で全国のお客様に対応しています。初回のヒアリングから設計のご相談までオンラインで完結できます。訪問が必要な場面は個別にご相談ください。

費用はどのくらいから始められますか?

項目1(資産棚卸)と項目2(多要素認証)は、自社対応なら追加費用をかけずに着手できます。外部依頼を含める場合、従業員20名規模で初期20〜80万円+月額2〜8万円が一つの目安です。既存環境によって大きく変わるため、現状を伺った上で優先順位ごとに分割した概算をご提示します。※金額は一般的なモデルケースであり、費用や成果を保証するものではありません。

専任の情シスがいません。導入後の運用はできますか?

専任者がいない前提で設計することが重要です。EDRは監視付き(MDR)を選ぶ、更新は自動化する、アラートの一次判断を外部に委ねる、といった形で「人がやること」を減らします。高機能でも人手が要る構成は、中小企業では機能しないことが多いと考えています。

ウイルス対策ソフトを入れていれば十分ではないのですか?

必要ですが、それだけでは不十分になってきています。従来型は「既知の悪いファイルを入れない」仕組みが中心で、正規IDでのログイン侵入やOS標準ツールの悪用には反応しにくい面があります。EDRのように「入られた後の挙動を検知・記録する」仕組みを併用することで、被害拡大の防止と事後の説明責任の両方に備えられます。

クラウドを使っていればバックアップは不要ですか?

不要とは言えません。クラウド事業者の冗長化は「事業者側の障害」に備えるものです。乗っ取りによる削除・暗号化や誤操作での削除は戻りません。復元機能があっても保持期間に上限があります。重要なデータは別の場所にも保管を。

他社が作った古いシステムがあり、開発会社と連絡が取れません。相談できますか?

ご相談いただけます。他社が開発したシステムの引き継ぎ・調査・改修は当社が対応している領域です。現状を拝見し「そのまま使えるか」「部分改修で足りるか」「作り直しが妥当か」を切り分けるところからご一緒します。詳しくはシステムリプレイスの記事もご覧ください。

認証やガイドラインの取得は必要ですか?

取引先からの明確な要求がない限り、最優先ではないケースが多いと考えています。まずは本記事の8項目のような実効性のある対策を進めるほうが、リスク低減とチェックシート対応の両面で効果的です。認証取得が取引条件なら要件から逆算した準備が必要です。制度要件は改定されるため、最新の内容は所管機関の公式情報をご確認ください。

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株式会社LUCRIS 編集部滋賀県大津市を拠点に、中小企業のDX・業務システム開発・AI活用を支援。 最終更新:2026年7月
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