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クラウド移行の進め方|オンプレとの比較・費用・失敗しない判断基準【2026年最新】

クラウド移行の進め方|オンプレとの比較・費用・失敗しない判断基準【2026年最新】
この記事の要点
  • クラウド移行は「安くなるから」ではなく「5年TCO(総保有コスト)と事業リスクで」判断する。単純比較では安くならないケースも珍しくありません。
  • 移行の型は大きく3つ。そのまま持ち上げるリフト&シフト、クラウド向けに部分最適するリプラットフォーム、業務ごと作り直すリプレイス。型を混同すると費用も期間も倍以上ぶれます。
  • 止められない業務は「並行稼働+リハーサル+切り戻し手順」の3点セットで移行する。一発勝負の切替は事故のもとです。
  • 移行後に「安くならなかった」原因の大半は、サイジング過剰・データ転送料・残ったオンプレ・運用体制の二重化の4つに集約されます。
  • 既製のクラウドサービスで足りるなら既製が最善。合わない部分だけをカスタム開発でつなぐ選択肢もあります。

結論:サーバの保守期限が理由でクラウド移行を検討しているなら、まず判断すべきは「クラウドかオンプレか」ではなく「今のシステム構成のまま5年続ける価値があるか」です。ハードだけ新しくして中身が同じなら、5年後にまったく同じ悩みが再来します。

本記事では、オンプレ更新とクラウド移行の5年TCO比較、移行の3つの型、止められない業務の切替手順、回線・セキュリティ・バックアップの設計、そして「移行したのに安くならなかった」失敗パターンまでを整理します。読み終えたときに、自社が取るべき選択肢と予算感が見えている状態を目指します。

こんなお悩みはありませんか?
  • 社内のファイルサーバと業務サーバの保守期限が近い。更新見積もりが数百万円で、そのまま出すか迷っている
  • 「クラウドにすれば安くなる」と聞くが、月額の積み上げを計算すると本当に安いのか判断できない
  • 基幹システムが古すぎて、クラウドに載せられるのかどうかすら分からない
  • 止められない業務(受発注・生産管理・請求)があり、切替のタイミングをどう作ればいいか見当がつかない
  • 情シスが実質ひとり(あるいは兼任)で、移行プロジェクトを回せる人手がない
  • ベンダーから提案は来るが、専門用語ばかりで自社に本当に必要なのか分からない

1つでも当てはまるなら、この記事が役に立ちます。読む時間がない方は、無料相談で直接お答えします。

目次

クラウド移行とは|まず「何を、どこまで」動かすか

クラウド移行とは、自社内に設置したサーバ(オンプレミス)で動かしているシステム・データ・業務基盤を、事業者が提供するクラウド環境へ移すことです。移す対象と移し方によって、費用も難易度も大きく変わります。

中小企業の社内には、性質のまったく異なるサーバが同居しているのが普通です。まず対象を棚卸ししないと、見積もりも比較もできません。

社内サーバの典型的な内訳

  • ファイルサーバ:共有フォルダ。容量が大きく、部署ごとの権限設計が絡む
  • 業務システムサーバ:販売管理・生産管理・在庫など。止まると業務が止まる
  • データベースサーバ:業務システムの裏側。性能要件がシビア
  • メール/グループウェア:すでにクラウド化済みの企業も多い領域
  • 認証サーバ(Active Directory など):PCログインの土台。移行順序に強く影響する
  • 専用機器と連動するサーバ:工場のPLC、複合機、入退室管理、POSなど

この6つは、移しやすい順と、移すメリットが大きい順が一致しません。それを踏まえずに「全部いっぺんに」進めると、難所で止まってプロジェクト全体が停滞します。

移行の対象を3層に分けて考える

第1層

すぐ移せる

ファイル共有、メール、グループウェア、バックアップ。既製サービスが充実しており、数週間〜2か月で移行できます。

第2層

検証が要る

業務システム、データベース、社内Webアプリ。OSバージョンやライセンス条件の確認と、検証環境での試験が前提です。

第3層

残す判断もある

工場設備や専用機器と直結するサーバ。無理に移さず社内に残す「ハイブリッド構成」が現実解になることも多い領域です。

「全部クラウドか、全部残すか」は現実的な選択肢ではありません。うまくいっている構成のほとんどは、第1層と第2層をクラウドへ、第3層を社内に残すハイブリッドです。

サーバ老朽化のサインと、期限が来たときの3つの選択肢

サーバの保守期限(EOSL)とは、メーカーによる部品供給と修理対応が終了する期日のことです。期限を過ぎると故障時に交換部品が入手できず、復旧まで数週間かかる、あるいは復旧不能になるリスクが生じます。

放置すると危ないサイン

  • ハード購入から5〜7年以上経過している(一般的な保守期間の目安を超えている)
  • OSのサポートが終了している、または終了予定が公表されている
  • 再起動すると立ち上がるか不安で、平日昼間に触れない
  • バックアップは取っているが、「戻せるか」を試したことがない
  • 構築した担当者がすでに退職しており、設定を知る人がいない

特に最後の2つは深刻です。バックアップは「取得」ではなく「復元」まで確認して初めて機能します。

期限が来たときの3つの選択肢

選択肢内容向くケース初期費用の目安
A. オンプレ更新同等スペックのサーバを買い替え、構成はほぼそのまま引き継ぐ業務要件が安定、外部と繋がらない、専用機器依存が強い150〜600万円
B. クラウド移行(リフト)今の構成をほぼそのままクラウド上の仮想サーバへ移すハードから解放されたい、拠点が複数、在宅勤務がある80〜400万円
C. 既製サービス+作り替え業務を見直し、既製クラウドサービスや新規開発に置き換える現行システムが業務に合っておらず、運用でカバーしている200〜1,200万円

※ 上記は一般的なモデルケースであり、成果を保証するものではありません。

多くの企業がつまずくのが「Aが一番安く見える」ことです。しかしAは、5年後にもう一度同じ金額の判断を迫られる選択でもあります。次章のTCO比較で、この見え方の差を数字にします。

オンプレ更新 vs クラウド移行|5年TCOで比較する

TCO(総保有コスト)とは、購入費だけでなく、運用・保守・電気代・人件費・更新費までを含めた、一定期間にかかる費用の合計です。サーバの判断は5年単位のTCOで見ないと必ず読み違えます。

比較に含めるべき費用項目

オンプレの見積書に載らないのに実際は発生する費用があります。ここを入れないと、オンプレが不当に安く見えます。

費用項目オンプレ更新クラウド移行
初期のハード/構築大きい(一括)中〜小
ソフトウェアライセンス買い切り中心月額に内包 or 持込
保守契約(年額)機器価格の10〜15%/年利用料に内包
電気・空調・設置スペース年 5〜20万円0円
バックアップ機器/媒体30〜120万円+運用月額に加算(小)
障害対応の人件費社内負担が大きいハード障害は事業者側
5年後の再更新再び一括で必要不要(継続利用)

5年TCOのモデルケース

従業員50名、ファイル+業務+DBサーバの計3台という構成を想定した、あくまでモデルケースの試算です。

項目オンプレ更新クラウド移行(リフト)
初期費用約 380万円約 180万円
年間ランニング約 65万円約 130万円
5年ランニング合計約 325万円約 650万円
5年TCO約 705万円約 830万円
6年目以降再更新で約380万円継続(追加投資なし)

※ 上記は一般的なモデルケースであり、成果を保証するものではありません。

この試算で分かるのは、5年で切ればオンプレのほうが安く見える場合があるという事実です。クラウド移行を「コスト削減策」として売り込まれたら、この点を必ず確認してください。

クラウドの価値は「金額」より「時間」と「リスク」に出る

①ハード故障・保守期限・設置場所という不確実性から解放される ②拠点・在宅・外出先から同じ環境にアクセスできる ③災害・停電時の事業継続性が構成次第で大きく改善する。この3つを金額換算できるかどうかが、判断の分かれ目です。

それでもオンプレが正解になるケース

  • 工場設備・検査装置などと低遅延で直結しており、通信が途切れると生産が止まる
  • 取引先や業界の要件で、データを社内に置くことが明確に求められている
  • 扱うデータ量が極端に大きく、クラウドの転送・保管料が現実的でない
  • 今後5年で業務を変える予定がなく、現行システムにも不満がない

いずれかに当てはまるなら、オンプレ更新は合理的な判断です。「クラウドにしないと遅れている」という空気に流される必要はありません。

自社の場合はどちらが得か、数字で確かめませんか?

現在の構成・台数・利用人数をお聞きすれば、5年TCOの概算をその場でご一緒に整理できます。オンラインでも対応、初回相談は無料、売り込みは一切いたしません。

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移行の型|リフト&シフト/リプラットフォーム/リプレイス

リフト&シフトとは、既存のサーバ構成をほぼそのままクラウド上の仮想サーバへ持ち上げる移行方式です。改修が少なく短期間で移せる反面、クラウドの利点を十分に活かしきれない場合があります。

3つの型の違い

やること期間の目安費用の目安注意点
リフト&シフト構成そのままクラウドの仮想サーバへ移設2〜4か月80〜400万円月額が割高になりやすい
リプラットフォームDBやストレージだけクラウド標準サービスに置換3〜6か月200〜700万円一部改修と再テストが必要
リプレイス(作り替え)業務を見直し、既製サービス/新規開発に置換6〜14か月300〜1,500万円要件定義の巧拙で成否が決まる

※ 上記は一般的なモデルケースであり、成果を保証するものではありません。

どう選び分けるか

  1. 保守期限が半年以内に迫っている → まずリフト&シフトで期限リスクを外し、落ち着いてから作り替えを検討する
  2. 現行システムに大きな不満はないが、ハード管理から離れたい → リフト&シフト、必要ならDBだけリプラットフォーム
  3. 現行システムが業務に合っておらず、Excelと二重入力で回している → リプレイス。ここでリフトしても不満はそのまま持ち込まれる
  4. そもそも業務フローが人依存で、システム化されていない部分が多い → 業務整理から着手。移行はその後

最も多い失敗は③で「まずリフトだけ」と決めた結果、数年後に改めて作り替え費用が発生し二重投資になるパターンです。時間的余裕があるなら、この段階で作り替えまで踏み込む価値があります。

段階移行という現実解

期限が迫っていて、かつ現行システムに不満もある——という板挟みはよくあります。その場合は①ファイル・メールを移す → ②業務サーバをリフトして期限リスクを外す → ③落ち着いてから業務に合わせて作り替えるという三段構えが有効です。投資も現場の負荷も分散されるため、社内リソースが限られる中小企業には現実的な進め方になります。

クラウド移行の費用相場

クラウド移行費用とは、移行作業の一時費用(設計・構築・データ移行・切替)と、移行後に毎月かかる利用料の2階建てで構成されます。見積もり比較の際は必ず両方を並べて確認します。

移行の一時費用(規模別)

規模対象作業内容費用の目安
小規模ファイルサーバのみ(〜2TB)設計・データ移行・権限設定・切替30〜100万円
中規模ファイル+業務サーバ2〜3台上記+仮想サーバ構築・接続設計・検証120〜400万円
大規模基幹系を含む5台以上上記+DB移行・並行稼働・切戻し設計400〜1,000万円
作り替え込み業務システムの再構築要件定義・設計・開発・移行・教育300〜1,500万円

※ 上記は一般的なモデルケースであり、成果を保証するものではありません。

移行後の月額(ランニング)の目安

項目内容月額の目安
仮想サーバ中規模構成(2〜4台相当)3〜12万円
ストレージ1〜5TB、バックアップ含む1〜6万円
データ転送クラウドから外に出す通信量に応じ変動0.5〜5万円
回線増強拠点の帯域確保・冗長化1〜8万円
運用保守委託監視・パッチ・障害一次対応3〜15万円

※ 上記は一般的なモデルケースであり、成果を保証するものではありません。

見積もりで必ず確認したい5項目

  • データ転送料の想定:クラウドから社内へ大量にダウンロードする業務があると跳ね上がります
  • 並行稼働期間の費用:新旧を同時に動かす期間の二重コストが計上されているか
  • 切り戻しの作業費:万一戻す場合の手順と費用が定義されているか
  • 移行後の運用範囲:どこまでが委託先の責任で、どこからが自社かの線引き
  • ライセンスの持込可否:今使っているソフトがクラウド上で使えるか

費用感をさらに把握したい方はシステム開発の相場業務システム化の費用対効果(ROI)もご覧ください。

止められない業務をどう移行するか|切替手順

並行稼働とは、新環境と旧環境を一定期間同時に動かし、結果を突き合わせて正しさを確認してから切り替える方式です。止められない業務の移行では事実上の必須手順になります。

切替までの標準的な流れ

① 現状調査・棚卸し15%
② 移行設計・構成決定30%
③ 検証環境で試行移行50%
④ 本番相当のリハーサル70%
⑤ 並行稼働・突合88%
⑥ 本切替・旧環境停止100%

各工程で押さえるポイント

  1. 現状調査:「誰が・いつ・何のために使っているか」まで洗う。使われていないシステムを対象から外せるだけで費用が下がります
  2. 移行設計:業務カレンダーと突き合わせ、月末・期末・棚卸日を避けた切替日を先に確保する
  3. 試行移行:本番データのコピーで実施。文字化け・日付形式・添付ファイルの欠落がここで見つかります
  4. リハーサル:本番と同じ手順書で時間を計測。想定より長ければ日程を組み替える
  5. 並行稼働:1〜2週間、同じ業務を両環境で処理し帳票を突合。差異の原因を潰しきる
  6. 本切替:切り戻し判断の期限(例:当日15時までに完了しなければ旧環境へ戻す)を事前に決めておく

切替日は「連休の初日」が定番。ただし条件つき

連休は作業時間を確保しやすい一方、トラブル時に人が集まりません。使うなら「当日と翌日は担当者が待機できること」「切り戻し手順が紙で用意されていること」を必ずセットにしてください。

データ移行でよく起きるトラブル

  • フォルダ階層が深すぎ、パス長制限で一部が移らない
  • アクセス権が長年の運用で複雑化し、移行後に「見えない/見えすぎる」が発生
  • 過去データの文字コードが混在し、旧字体・機種依存文字が化ける
  • 業務システムから出力していた帳票のレイアウトが崩れる
  • ExcelマクロやAccessが特定のドライブレターに依存しており動かなくなる

いずれも既知の問題ばかりですが、事前調査をせずに移行日を迎えると当日の混乱に直結します。特に4つ目・5つ目は現場の業務が完全に止まるため、必ず試行移行で確認してください。属人化業務が絡む場合は属人化業務をシステム化するもご覧ください。

回線・セキュリティ・バックアップの設計

クラウド移行における回線設計とは、社内からクラウドへの通信経路・帯域・冗長性を決めることです。サーバをクラウドに移すと、これまで社内LANで完結していた通信がインターネット経由になるため、回線が業務速度の上限を決めることになります。

回線:移行前に必ず測る

移行後に「前より遅くなった」という不満が出る原因の多くは回線です。移行前に次の3点を確認してください。

  • 実効速度:カタログ値ではなく、業務時間帯の実測値。上り速度も重要です
  • 同時利用人数:全社員が同時にファイルを開く時間帯(朝礼後・月末)の負荷
  • 冗長化の有無:回線が切れたら全業務が止まる構成になっていないか。副回線やモバイル回線の備えがあるか

大容量ファイル(CAD・動画・設計図面)を日常的に扱う部署があるなら、その部署だけ社内にファイルサーバを残す構成が有効です。全社一律にしないことがコツです。

セキュリティ:責任分界点を理解する

クラウドにすればセキュリティが自動的に良くなる、というのは誤解です。事業者が守る範囲と利用者が守る範囲は明確に分かれています。

領域主な責任具体的にやること
データセンター・物理クラウド事業者利用者側の作業は基本的に不要
OS・ミドルウェア構成による仮想サーバ型なら利用者側でパッチ適用が必要
アクセス権・ID管理利用者多要素認証、退職者のID即時停止、権限の棚卸し
データそのもの利用者持ち出し制御、暗号化、バックアップ

特に見落とされやすいのが退職者のID停止です。オンプレ時代は社内ネットワークに入れなければ実害が小さかったものが、クラウドではどこからでもアクセスできてしまいます。移行のタイミングでID管理のルールを必ず整備してください。

なお個人情報保護法や電子帳簿保存法などの制度要件が絡む場合、本記事は2026年時点の一般的な情報であり、最新の取り扱いは所管省庁の公表資料や税理士等の専門家にご確認ください。

バックアップ:3つの原則

  • 複数の場所に持つ:クラウド上のデータも事業者障害や誤操作で失われ得ます。別リージョンや別媒体にも保持します
  • 世代を持つ:直近1本だけでは、ランサムウェアや誤削除に気づいたとき正常な状態へ戻せません。日次で複数世代、月次で長期保管が基本形です
  • 復元テストをする:年1回でよいので実際に復元し、手順と所要時間を確認します。これをしていないバックアップは、あると思って無いのと同じです
5〜7年サーバ保守期間の目安
2〜6か月中規模移行の期間
1〜2週間並行稼働で確保したい期間

回線・セキュリティ・バックアップ、どこから手をつけるか整理します

現在の構成をお聞かせいただければ、優先順位と抜けている論点を無料でご一緒に洗い出します。遠方でもオンラインで対応可能、その場で契約を迫ることはありません。

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「安くならなかった」失敗パターン7つ

移行後に「思ったほど安くならない」という声は珍しくありません。原因はほぼ次の7パターンに収まります。

① オンプレと同じスペックで見積もってしまった

オンプレのサーバはピーク時に合わせて余裕を持って購入されるのが普通です。そのまま仮想サーバに置き換えると、常時ピーク相当の料金を払い続けることになります。クラウドは必要に応じて増減できるのが利点。実際の負荷を測り、小さく始めて足りなければ上げるのが正解です。

② データ転送料を計算に入れていなかった

クラウドから社外へ出す通信には料金がかかるのが一般的です。毎日大量の図面や動画を社内へ落とす業務があると、月額が想定の数倍になることも。「どのデータが、どれだけ、どちらへ動くか」を事前に洗い出してください。

③ オンプレが結局残った

「この装置だけは移せない」となり社内サーバを1台残す。するとハード保守も電気代も運用負荷も残り、クラウドの月額だけが純増します。残すなら「何を、なぜ残すか」を最初に決め、その費用も含めて比較することです。

④ 運用体制が二重化した

クラウドの管理画面を触れる人が限られ、結局ベンダーに都度依頼。一方で社内にも従来の運用が残る。結果、外部委託費と社内工数が両方かかります。「日常運用をどちらが持つか」の明文化で防げます。

⑤ 使っていないシステムまで移した

棚卸しをせずに「今あるものを全部」移すと、誰も使っていないシステムの移行費と月額まで払うことになります。移行はシステムを減らす好機です。年に数回しか使わないものは対象から外せないか検討してください。

⑥ 効果を測る指標を決めていなかった

「速くなった」は感覚でしかなく、経営層への説明ができません。「バックアップ復旧時間」「障害対応の年間工数」など、測れる指標を移行前に2〜3個決めておくと、投資判断の振り返りができます。

⑦ 現場の業務が変わらなかった

最も本質的な失敗です。サーバの置き場所が変わっただけで、二重入力もExcel転記も紙の回覧も残っている。効果は「ハード管理から解放された」ことに留まります。効果を最大化するには、移行を機に業務そのものを見直す必要があります。

移行は「引っ越し」ではなく「片づけの機会」

引っ越しで不要な家具を捨てるように、移行は使われていないシステム・二重管理されたデータ・形骸化した承認フローを整理する好機です。整理せず全部そのまま運ぶと、新居でも同じ散らかり方をします。

この論点をさらに深めたい方は、ITツールが現場で使われない理由どこからDXすべきかわからない方へが参考になります。

既製クラウドサービス vs カスタム開発の比較

既製クラウドサービス(SaaS)とは、事業者が提供する完成済みのシステムを月額で利用する形態です。初期費用が安く早く使えますが、自社の業務に合わせて仕様を変えることは基本的にできません。

比較表

比較軸既製クラウドサービスカスタム開発
初期費用0〜50万円150〜1,500万円
月額1〜15万円1〜10万円(基盤・保守)
導入までの期間数日〜2か月3〜12か月
業務への適合サービスに業務を合わせる業務に合わせて作れる
他システム連携提供された範囲内必要な連携を設計できる
仕様変更できない(要望は出せる)事業の変化に応じて可能
サービス終了リスク提供終了の可能性がある自社資産として残る
向いているケース汎用業務(勤怠・経費・会計)自社独自の業務・競争力の源泉

※ 上記は一般的なモデルケースであり、成果を保証するものではありません。

既製で足りるケースは、正直に既製が最善です

次のような業務は既製のクラウドサービスで十分に足ります。わざわざ作る必要はありません。

  • 勤怠管理・給与計算・経費精算といった、法令に沿った定型業務
  • メール・グループウェア・オンライン会議などの汎用ツール
  • ファイル共有(容量と権限設計の要件は要確認)
  • 会計・請求書発行など、制度改正への追随が必要な領域

制度改正のたびに自社で改修する負担を考えれば、既製サービスに任せるほうが合理的です。選び方は勤怠管理システムの選び方経費精算システムの選び方にまとめています。

カスタム開発が向くケース

  • 業界特有の商習慣(歩引き、都度見積、複雑な単価体系)があり、既製では表現できない
  • 既製サービスを入れたが結局Excelとの二重入力が残ってしまった
  • 複数の既製サービスに同じデータを入力しており、連携させたい
  • 現場が使わずに形骸化した経験がある(現場の手順に合わせて作る必要がある)
  • 他社が作ったシステムを引き継いだが、改修できる人がいない

「既製+カスタム連携」という中間解

すべてを作る必要はありません。会計や勤怠は既製サービスを使い、自社独自の受発注や現場管理の部分だけをカスタム開発し、両者をデータ連携でつなぐ——という構成が、費用と適合性のバランスとして中小企業には現実的です。LUCRISではこの中間解をご提案することが多くあります。

より詳しい判断軸はスクラッチ vs パッケージ vs SaaSをご覧ください。

移行プロジェクトの進め方と社内体制

移行プロジェクトの体制とは、意思決定者・現場の代表・技術担当・外部委託先の役割分担のことです。中小企業では兼任が前提になるため、「誰が決めるか」を最初に決めることが最も重要です。

最低限そろえたい3つの役割

  • 決裁できる人:費用と切替日を最終判断する立場。中小企業では経営者本人が担うのが最も速く、途中で止まりません
  • 現場を知る人:業務手順・繁忙期・例外処理を答えられる人。不在だと移行後に「聞いてない」が続出します
  • 窓口になる人:外部委託先とのやり取りを一本化する担当。専門知識より社内調整と記録が得意な人が向きます

自社でできること/外部に頼むこと

工程自社でできる外部に頼むべき
現状の棚卸し使用状況・利用者のヒアリング技術構成の詳細調査
要件整理業務上の必須条件の言語化技術要件への翻訳
構成設計予算・優先順位の決定クラウド構成・回線・セキュリティ設計
データ移行不要データの選別・整理移行ツールの選定と実行
移行後運用日常のID管理・データ整理監視・パッチ・障害一次対応

棚卸しと不要データの選別は、自社でやるほど費用が下がる工程です。移行を決めた時点で共有フォルダの整理と「使っていないシステムの洗い出し」を始めておくと、見積もり額そのものが変わります。

ベンダー選びで確認したいこと

  • 移行後の運用を誰が担うのか、範囲が契約書で明確になっているか
  • 切り戻し手順が提案に含まれているか(含まれていない提案は要注意)
  • 並行稼働期間の費用が見積もりに入っているか
  • 既製サービスで足りる部分を「既製で足ります」と言ってくれるか
  • 移行後の業務側の相談(帳票変更・機能追加)にも乗ってもらえるか

特に4つ目は有効な判断材料です。何でも開発を勧めてくる相手より、「そこは既製で十分です」と言える相手のほうが長期的に信頼できます。

LUCRISができること

株式会社LUCRISは滋賀県大津市を拠点に、中小企業・個人事業主のシステム開発と業務改善を支援しています。クラウド移行では次のようなご相談を承っています。

  • オンプレ更新とクラウド移行、どちらが自社に合うかの整理(結論としてオンプレ更新をお勧めすることもあります)
  • 既製のクラウドサービスで足りる部分と、カスタム開発が必要な部分の切り分け
  • 業務に合わせたシステムの開発、および既製サービスとのデータ連携
  • 他社が構築したシステムの引き継ぎ・改修のご相談
  • そもそも何から手をつければいいか分からない段階での、業務整理からの伴走

全国オンラインで対応しており、滋賀県外・遠方のお客様も多くいらっしゃいます。相談・お見積りは無料で、売り込みは行いません。「うちの構成だとどうなりますか」という段階から、お気軽にご相談ください。

クラウドに移行すれば必ずコストは下がりますか?

下がるとは限りません。5年程度で単純比較すると、オンプレ更新のほうが安くなるケースもあります。クラウドの主な価値は、ハード故障・保守期限・設置場所という不確実性からの解放と、拠点・在宅からの利用、災害時の事業継続性です。コスト削減が唯一の目的なら、移行前にTCO試算での確認をおすすめします。

相談だけでも大丈夫ですか?まだ移行するか決めていません。

もちろん大丈夫です。「保守期限が来るが何をすべきか分からない」「ベンダーの提案が妥当か第三者の意見が聞きたい」という段階のご相談を多くいただいています。オンプレ更新が合理的だと判断される場合は、そのままお伝えします。相談は無料で、その場で契約を迫ることはありません。

滋賀県外・遠方でも対応できますか?

対応可能です。オンライン会議と画面共有で全国のお客様をご支援しています。要件整理・設計・進捗確認はオンラインで完結できるため、距離による制約はほとんどありません。

費用はどのくらいからでしょうか?

規模によります。ファイルサーバのみなら30〜100万円程度、業務サーバを含む中規模で120〜400万円程度が一般的な目安です。作り替えを含む場合は300万円以上になることが多くなります。いずれも一般的なモデルケースで、実際は台数・データ量・業務の複雑さで変わります。概算のご提示から無料で承ります。

古い業務システムでもクラウドに載せられますか?

載せられる場合と、載せても問題が残る場合があります。OSやミドルウェアのバージョン、ライセンス条件、外部機器との接続方式で判断が変わるため、まず現状調査が必要です。技術的に移せても「その仕組みを5年続ける価値があるか」は別問題ですので、あわせて検討することをおすすめします。

移行中に業務を止めずに済みますか?

設計次第で、業務時間の停止をほぼゼロに近づけることは可能です。並行稼働で新旧を同時に動かし、休日や夜間に切替を行うのが一般的です。ただし完全にゼロを目指すと費用が上がるため、「何時間なら止められるか」を先に決めて逆算するのが現実的です。

他社が作ったシステムでも引き継いでもらえますか?

ご相談いただけます。まず構成・ソースコード・ドキュメントの有無を確認し、引き継ぎが可能かを判断します。資料が残っていない場合でも、動作から仕様を確認しながら段階的に対応できるケースがあります。

クラウドに移すとセキュリティは大丈夫でしょうか?

事業者が守る範囲(データセンター・物理設備)と、利用者が守る範囲(ID管理・アクセス権・端末運用)が分かれています。事業者側は一般に高い水準ですが、利用者側の設定が甘いと危険です。移行時に多要素認証の導入、退職者ID即時停止のルール化、権限の棚卸しを行ってください。制度要件が絡む場合は2026年時点の一般的な情報として捉え、最新の取り扱いは所管省庁や専門家にご確認ください。

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株式会社LUCRIS 編集部滋賀県大津市を拠点に、中小企業のDX・業務システム開発・AI活用を支援。最終更新:2026年7月
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