- 二重入力の原因は担当者の注意力ではなく、見積・請求・入金が別々の道具で管理されている仕組みそのものにあります。
- 見積番号を軸に受注・請求・入金をひも付ければ、請求書は「作る」ものから「受注から出す」ものに変わり、転記がゼロに近づきます。
- 入金消込は銀行明細のCSV/API取込+自動照合で7〜9割を機械化でき、人は例外だけを見る運用に切り替えられます。
- 売掛金の滞留は「日数別の残高一覧」を自動生成できるかで管理精度が決まり、督促の遅れがそのまま資金繰りを直撃します。
- 費用相場は既製の販売管理サービスで月1〜10万円台、カスタム開発で150〜800万円台。まず既製で足りるかを判断してから投資するのが正解です。
結論:二重入力を解消する最短ルートは、「同じ数字を2回打たない設計」に業務そのものを組み替えることです。ツールを増やすことではありません。見積を起点に、受注・請求・入金消込までを1本のデータでつなぐ。これだけで月末の締め作業は驚くほど短くなります。
本記事では、なぜ二重入力が起きるのかという構造の話から、見積→受注→請求→入金消込を一元化する具体的な設計、銀行明細を取り込んだ消込の自動化、売掛金の滞留を可視化する方法、会計ソフトとの連携パターン、既製システムとカスタム開発の比較、費用相場と導入手順までを、中小企業の現場目線で解説します。
- 見積はExcel、請求書は会計ソフト、入金確認は通帳とネットバンキング。同じ金額を3回打ち直している。
- 月末になると入金消込に丸2日かかる。振込名義が会社名と違う、複数請求がまとめて振り込まれる、振込手数料が引かれている——毎回この3つで詰まる。
- 請求漏れが年に何件か発生している。受注はしたのに請求書が出ていない案件が、あとから見つかる。
- 「あの会社、いくら未回収だっけ?」に即答できない。売掛金の残高を知るのに、Excelを開いて手で突き合わせている。
- 見積の最新版がどれか分からない。担当者ごとにファイルがあり、値引き後の金額が請求時に反映されていなかった。
- 担当者が休むと請求業務が止まる。手順がその人の頭の中にしかない。
1つでも当てはまるなら、この記事が役に立ちます。読む時間がない方は、無料相談で直接お答えします。
なぜ二重入力はなくならないのか
多くの中小企業では、見積・請求・入金の管理が次のように分かれています。
| 工程 | よく使われている道具 | そこで入力する情報 |
|---|---|---|
| 見積作成 | Excel/Wordのテンプレート | 取引先名・品目・数量・単価・有効期限 |
| 受注管理 | Excel一覧表、あるいは口頭・メールのみ | 受注日・金額・納期・担当者 |
| 請求書発行 | 会計ソフト/請求書サービス | 取引先名・品目・数量・単価・支払期日 |
| 入金確認 | 通帳・ネットバンキングの明細 | 入金日・振込名義・金額 |
| 消込・売掛管理 | Excel(手作業で突き合わせ) | 請求番号と入金の対応、残高 |
「取引先名・品目・数量・単価」という同じ情報が、見積と請求で2回入力されています。さらに入金の突き合わせで請求金額をもう一度目で追う。実質3回、同じ数字に触れているわけです。
「気をつける」では二重入力を解消できない理由
転記ミスの対策として出てくるのは、たいてい「ダブルチェックの徹底」です。しかしこれは作業量を2倍にしてミス率を数分の1に下げているだけで、件数が増えれば絶対数としてのミスは戻ってきます。本質的な対策は入力の回数そのものを減らすこと。1回しか入力しない情報は、転記ミスが起こりようがありません。
チェックを増やす対策は「人の負荷を上げて確率を下げる」アプローチ、一元化は「そもそも発生源をなくす」アプローチです。長期的にコストが下がるのは後者です。
分断が生む5つのコスト
- 転記ミス:金額違いの請求書は、訂正の手間に加えて信用も削ります。
- 請求漏れ:受注一覧と請求実績が別管理だと出し忘れを検知できません。売上の消失です。
- 消込作業:月末に数時間〜数日が固定的に消え、件数に比例して増えます。
- 回収遅れ:未入金に気づくのが遅れれば督促も遅れ、資金繰りを圧迫します。
- 属人化:手順が個人のExcelに依存し、担当者の不在が業務停止に直結します。
まず自社の「同じ数字を何回打っているか」を数えてみてください。3回以上なら、一元化の効果は確実に出ます。
見積・請求・入金の一元化とは何か
「ファイルの集約」と「データの一元化」は別物
よくある誤解が、共有フォルダに見積・請求のPDFを整理して置けば一元化だ、というものです。これは保管の集約であって、データの一元化ではありません。PDFは集計も入金との照合もできないからです。データの一元化とは、次のような状態を指します。
1つのIDで貫通する
見積番号や案件番号を軸に受注・請求・入金がひも付き、番号を1つ入れればその取引の全履歴が出てくる。
マスタが1つ
取引先名・住所・支払条件・単価を1か所で管理し、見積でも請求でも同じマスタを参照。表記ゆれが構造的に起きない。
状態が見える
各取引が「見積中/受注済/請求済/入金済」のどの段階かが一覧で分かる。請求漏れは「受注済のまま止まっている件」として自動的に浮かぶ。
集計が自動
売掛残高、月次売上、取引先別の未回収額が、集計作業なしに常に最新で見られる。
ステータス管理が「請求漏れゼロ」を作る
二重入力を解消したときのもっとも分かりやすい効果が、請求漏れの構造的な防止です。受注ステータスの案件が請求ステータスに進んでいなければ、それは「まだ請求していない案件」として自動的にリストに残ります。人が思い出す必要がありません。
| ステータス | 意味 | ここで滞留していたら |
|---|---|---|
| 見積提出済 | 見積を出して返答待ち | フォロー漏れ。失注確認をする |
| 受注 | 発注をもらった状態 | 正常。納品待ち |
| 納品済・未請求 | 納品したが請求書未発行 | 請求漏れの候補。最優先で確認 |
| 請求済・未入金 | 請求書を送り入金待ち | 期日超過なら督促対象 |
| 入金済 | 消込完了 | クローズ |
このステータスの並びは、そのままお金が動く順番です。どこで止まっているかが見えれば、打つ手も自動的に決まります。
「うちの業務でも一元化できる?」を一緒に確認します
見積の出し方も請求のタイミングも、業種によってまったく違います。今のやり方をお聞きして、どこまで1本化できるかを整理するところからで大丈夫です。相談・お見積りは無料、オンライン対応可、売り込みは一切ありません。
一元化した業務フローの具体像
一元化後に業務がどう変わるかを、工程ごとに具体的に示します。
Step 1:見積を「データとして」作る
見積作成画面で取引先をマスタから選び、品目を選び、数量を入れます。単価は取引先別マスタから自動で入り、手で上書きもできます。ここで入力した内容が、以降すべての工程の元データになります。
- 取引先を選ぶだけで宛名・住所・敬称・支払条件が自動で入る
- 品目は登録済みマスタから選択。都度入力の自由欄も残す
- 消費税の計算・端数処理を統一し、担当者ごとの計算ブレをなくす
- 改訂は「Rev.2」として履歴を残し、最新版が一目で分かる
Step 2:受注は「見積のコピー」で済ませる
発注をもらったら、該当の見積を開いて「受注に変換」を押すだけ。金額も明細もそのまま引き継がれます。値引き交渉で金額が変わった場合だけ、その部分を修正します。ここで入力するのは受注日・納期・注文書番号くらいで、明細を打ち直す必要はありません。
Step 3:請求書は「受注から発行」する
請求書は作るものではなく、受注データから出すものになります。締め日が来たら、その月に納品済みで未請求の案件を一覧で表示し、まとめて請求書を生成します。
案件ごとに1枚
納品の都度、その受注に対して請求書を発行。単発案件が多い業種向け。
月末締めで合算
1か月分の複数案件を1枚の請求書にまとめる。取引先ごとに締め日が違う場合も、条件をマスタに持たせて自動判定させる。
着手金・中間・完了
1つの受注を複数回に分けて請求。建設・システム開発など長期案件で必要になる。残請求額を自動で管理する。
毎月同額を自動発行
保守契約・顧問契約など。契約期間中は自動で請求データを生成し、発行忘れを防ぐ。
Step 4:入金は取り込んで自動照合する
ネットバンキングから入金明細を取り込み、請求データと自動で突き合わせます。詳細は次章で扱いますが、要は「人が通帳を見て手で消し込む」工程が消えるということです。
Step 5:残ったものだけを人が見る
自動照合できなかった明細と期日超過の未入金だけがリストに残ります。担当者はそこだけ見ればよく、全件を目で追う必要はなくなります。
※ 上記は一般的なモデルケースであり、成果を保証するものではありません。見積入力を100%としたときの、各工程の入力作業量の目安です。
入金消込を自動化する仕組み
手作業の消込が終わらない3つの理由
消込が苦しいのは、単に件数が多いからではありません。次の3つの「ズレ」が必ず混ざるからです。
| ズレの種類 | 具体例 | 手作業だと何が起きるか |
|---|---|---|
| 名義のズレ | 請求先は「株式会社〇〇」だが振込名義は「カ)〇〇シガエイギヨウシヨ」 | どの取引先か分からず、名簿を見に行く時間が発生 |
| 金額のズレ | 振込手数料が差し引かれて数百円少ない/源泉徴収が引かれている | 完全一致で探しても見つからず、1件ずつ電卓で検算 |
| 件数のズレ | 3枚の請求がまとめて1回で振り込まれる/1枚の請求が2回に分けて入金 | 組み合わせを人力で探す作業になり、時間が跳ね上がる |
自動照合はこう組む
この3つのズレを前提に、照合ロジックを段階的に組みます。上から順に判定し、当たったところで確定させる考え方です。
- 完全一致:振込名義と金額が請求データと完全に一致するもの。ここで大半が片付きます。
- 名義変換辞書での一致:「カ)〇〇シガ」=「株式会社〇〇 滋賀営業所」という対応表で名義のゆれを吸収します。一度登録すれば以降ずっと効きます。
- 手数料許容の一致:金額差が数百円以内(設定可能)なら手数料差引とみなし、差額を自動仕訳します。
- 源泉徴収の逆算一致:源泉徴収がある場合、税引後金額を計算して照合します。
- 合算一致:同一取引先の未入金請求を組み合わせ、合計が入金額と一致するパターンを探します。機械のほうが圧倒的に速い領域です。
- 候補提示:どれにも当たらなければ近い候補を並べて人が選び、その結果を次回以降の辞書に反映します。
重要なのは「100%自動化を目指さない」こと。7〜9割が自動で片付き、残りだけを人が見る運用にできれば、作業時間は劇的に減ります。最後の1割を自動化するために複雑な仕組みを作ると、かえって保守コストが跳ね上がります。
入金明細の取り込み方
| 取込方式 | 特徴 | 向いているケース |
|---|---|---|
| CSVダウンロード+手動アップロード | ネットバンキングから明細を落として取り込む。最も安価で確実 | まず始めたい/口座数が少ない |
| 金融機関API連携 | 自動で明細を取得。手作業ゼロ。金融機関側の対応状況と利用条件の確認が必要 | 件数が多い/日次で残高を見たい |
| 入金明細サービス経由 | 複数口座をまとめて取得する外部サービスを挟む | 口座が複数ある/複数行を横断したい |
| バーチャル口座の利用 | 取引先ごとに専用の振込口座番号を割り当て、名義のズレを構造的に消す | 取引先数が多く、名義ゆれが深刻 |
バーチャル口座は消込精度を一気に上げる手段ですが、金融機関との契約と手数料が必要です。まずはCSV取込+名義辞書で始め、件数が増えてから検討するのが現実的です。
消込作業がどう変わるか(イメージ)
※ 上記は一般的なモデルケースであり、成果を保証するものではありません。取引件数・振込形態・取引先の支払習慣によって結果は大きく変わります。
売掛金の滞留を可視化する
回収は「気づくのが早いほど楽」になる
未入金への対応は時間が経つほど難しくなります。期日から1週間なら「入れ違いでしたらすみません」で済む連絡が、3か月経つと重い話になる。だからこそ気づく速さがすべてです。ところが多くの中小企業では、気づくきっかけが「何かの拍子に思い出す」か「決算前に洗い出す」しかありません。
年齢表(エイジングリスト)を自動で作る
売掛管理の基本は、経過日数別に残高を並べた一覧です。これが自動生成できるかで管理精度が決まります。
| 経過日数 | 状態の意味 | 取るべきアクション |
|---|---|---|
| 期日前 | 正常 | 何もしない |
| 1〜30日超過 | 入れ違い・処理遅れの可能性が高い | 担当者から確認の連絡(軽いトーンで) |
| 31〜60日超過 | 先方の社内で止まっている可能性 | 書面で支払期日の再確認。経理部門にも連絡 |
| 61〜90日超過 | 要注意。取引条件の見直し検討 | 責任者から連絡。新規受注は与信を再確認 |
| 91日超過 | 回収リスクが高い | 専門家への相談を含め、対応方針を経営判断 |
アラートで「思い出す」を仕組みに変える
- 支払期日の3日前に、未入金の請求一覧を担当者へ自動通知
- 期日を過ぎた案件を毎朝メールやチャットで通知(件数と合計金額つき)
- 取引先別の与信限度額を設定し、超えたら新規受注時に警告を出す
- 月初に「先月の請求・入金・残高サマリ」を経営者へ自動送信
回収管理でもっとも価値があるのは、督促文のテンプレートではなく「今日、誰に連絡すべきかが自動で出てくること」です。加えて、請求データに支払期日が入っていれば「今月入ってくる予定の金額」も自動で計算でき、資金繰りの見通しが副産物として手に入ります。
消込と売掛管理、どこまで自動化できるか診断します
振込名義のゆれ方も、まとめ振込の頻度も、会社ごとに事情が違います。実際の明細のパターンをお聞きすれば、自動化できる割合の目安をお伝えできます。無料・オンライン可、その場で契約を迫ることはありません。
会計ソフト・既存システムとの連携設計
一元化するといっても、会計ソフトを捨てる必要はありません。むしろ、会計ソフトは会計のまま残し、その手前を一元化するのが現実的な設計です。
役割分担をはっきりさせる
| 領域 | 担当する仕組み | 持つデータ |
|---|---|---|
| 見積・受注・請求・入金消込 | 販売管理(一元化する部分) | 案件単位の明細、取引先マスタ、売掛残高 |
| 仕訳・決算・申告 | 会計ソフト | 勘定科目別の仕訳、試算表、決算書 |
| 入出金の事実 | 金融機関 | 口座明細 |
この分担で、販売管理側から会計ソフトへは「売上計上の仕訳」と「入金の仕訳」だけを渡せば足ります。明細レベルの情報を会計側に持ち込む必要はありません。
連携の3パターン
CSV出力・取込
販売管理から仕訳CSVを出し会計ソフトに取り込む。ほぼすべての会計ソフトが対応し、確実で安価。月1回の作業で済むなら十分実用的。
API連携
会計ソフトのAPIで仕訳を自動送信し、人の操作が不要になる。対応ソフトかどうかの事前確認が必要。
双方向同期
取引先マスタや入金情報を双方向で同期。便利だが、どちらが正かを決めないと不整合の温床になる。慎重に設計する領域。
最初はレベル1(CSV)で始めるのがおすすめです。運用が固まってからAPIに移行すれば、無駄な作り込みを避けられます。
連携で必ず決めておくこと
- マスタの正はどちらか:取引先コードをどちらで採番するか。決めないと二重管理に逆戻りします。
- 売上計上のタイミング:出荷基準か検収基準か。会計方針に合わせて挙動を決めます。
- 締め後の修正ルール:連携済みデータを直すとき、赤伝で戻すのか修正を許すのか。
- 消費税の端数処理:明細ごとか請求書単位か。会計側と揃えないと1円のズレが出続けます。
電子帳簿保存法・インボイス制度への対応
請求まわりを仕組み化するなら、保存要件も一緒に考えておくと後戻りがありません。一般に押さえるべきポイントは、電子で授受した請求書の電子データ保存、取引年月日・取引先・金額での検索性、訂正削除の履歴保持、適格請求書発行事業者の登録番号と税率ごとの区分記載などです。
※ 上記は2026年時点の一般的な情報です。制度の詳細や自社への適用可否は変更される場合があるため、最新の要件は国税庁など所管省庁の公表資料、または税理士等の専門家にご確認ください。
既製の販売管理システム vs カスタム開発
では何を導入すべきか。選択肢は大きく3つあります。
| 比較項目 | 既製のクラウド販売管理 | 既製+カスタム連携 | カスタム開発 |
|---|---|---|---|
| 初期費用 | 0〜30万円 | 50〜250万円 | 150〜800万円 |
| 月額費用 | 1〜10万円 | 2〜15万円 | 1〜10万円(保守) |
| 導入期間 | 数日〜1か月 | 1〜3か月 | 3〜8か月 |
| 業務への適合 | 標準機能の範囲に業務を合わせる | 足りない部分だけ作って埋める | 今の業務にそのまま合わせられる |
| 独自の見積ロジック | 対応が難しいことが多い | その部分だけ独自に作れる | 完全に対応可能 |
| 消込ロジックの調整 | 提供された機能の範囲内 | 自社の名義パターンに合わせて拡張可 | 自由に設計できる |
| 他システムとの連携 | 用意された連携先のみ | 必要なところを個別につなげる | 制約なし |
| 仕様変更への対応 | 提供元の判断次第 | カスタム部分は自社判断 | すべて自社判断 |
| サービス終了リスク | あり(乗り換えが必要になる) | 既製側にはあり | なし |
既製サービスで十分なケース(正直に)
私たちは開発会社ですが、既製で足りるなら既製をおすすめします。次に当てはまるなら、まずクラウドの販売管理サービスを試してください。
- 見積・請求の形式が一般的で、独自の計算ルールがない
- 請求の締めが「月末締め翌月末払い」など標準的なパターンに収まる
- 月間の請求件数が数十件程度で、消込の例外パターンが少ない
- 既存の基幹システムと連携する必要がない
- まず小さく始めて、効果を確かめてから広げたい
カスタム開発を検討したほうがよいケース
- 見積の計算ロジックが独自:面積・重量・工数などから積算する、取引先ごとに掛率が違うといったケース。既製の「単価×数量」では表現できません。
- 請求の締めが取引先ごとにバラバラ:20日締め・末締め・検収月締めが混在し、例外も多い。
- 既存の生産管理・在庫システムとつなぐ必要がある:受注データが別システムにあり、そこから請求まで流したい。
- 消込の例外パターンが多い:手形、相殺、外貨、源泉徴収、複数拠点からの入金が日常的にある。
- 既製を試したが業務が回らなかった:機能に業務を合わせようとして現場が反発し、Excelに戻った経験がある。
- 件数が多く月額費用が積み上がっている:ユーザー数課金で人が増えるたびにコストが上がる状態。
判断の分かれ目はシンプルです。「業務をシステムに合わせられるか、システムを業務に合わせる必要があるか」。合わせられるなら既製が圧倒的に有利です。合わせられない部分が業務の核心にあるなら、そこはカスタムで作る価値があります。
スクラッチ・パッケージ・SaaSの違いをもう少し詳しく整理したい方は、スクラッチ vs パッケージ vs SaaS の比較記事もあわせてご覧ください。内製と外注のどちらで進めるかについては、内製化 vs 外注の判断基準で詳しく解説しています。
費用相場と導入期間の目安
実際にいくらかかるのか。範囲別の目安を示します。
| 開発範囲 | 含まれる機能 | 費用目安 |
|---|---|---|
| 請求管理のみ | 取引先マスタ、請求書発行、PDF出力、一覧・検索 | 80〜200万円 |
| 見積〜請求 | 上記+見積作成、受注管理、ステータス管理、請求漏れ検知 | 150〜350万円 |
| 見積〜入金消込 | 上記+銀行明細取込、自動照合、売掛残高管理、督促リスト | 250〜500万円 |
| 販売管理フルセット | 上記+在庫・仕入・原価管理、会計API連携、権限管理、レポート | 450〜800万円 |
| 既製サービス+カスタム連携 | 既製の請求サービスを使い、見積・消込の独自部分だけ開発 | 50〜250万円 |
| 保守・運用(月額) | 障害対応、軽微な改修、サーバ費用、問い合わせ対応 | 月2〜15万円 |
※ 上記は一般的なモデルケースであり、成果を保証するものではありません。要件・画面数・連携先の数・データ移行の量によって金額は変動します。
費用を左右する5つの要素
- マスタと画面の数:管理項目が多いほど入力画面・一覧画面が増えます。
- 連携先の数と方式:API連携はCSV取込より工数がかかります。
- 権限設計の細かさ:「営業は自分の案件だけ」といった制御は細かいほど工数増。
- データ移行の量:過去Excelの表記ゆれ整理に想像以上の時間がかかります。
- 帳票のこだわり:既存の紙と1mm単位で合わせる要望はコストに直結します。
投資判断の考え方
費用対効果は、削減できる時間から逆算するのが分かりやすい方法です。
| 項目 | モデルケースの数値 |
|---|---|
| 月末の消込作業 | 16時間 → 2時間(月14時間削減) |
| 請求書作成・転記 | 12時間 → 3時間(月9時間削減) |
| 見積作成の転記 | 8時間 → 4時間(月4時間削減) |
| 合計削減時間 | 月27時間/年間324時間 |
| 人件費換算(時給3,000円想定) | 年間約97万円 |
※ 上記は一般的なモデルケースであり、成果を保証するものではありません。実際の効果は現在の業務量と自動化の適用範囲によって変わります。
この試算なら300万円の投資でも3年程度で時間コストは回収でき、さらに請求漏れ防止と回収早期化というキャッシュへの直接効果が乗ります。詳しくは業務システム化の費用対効果(ROI)で整理しています。
導入の進め方と、よくある失敗
進め方は5ステップ
現状の棚卸し(1〜2週間)
見積から入金までの流れを書き出し、どこで何を入力しているかを洗い出す。二重入力の箇所が全部見えます。
範囲を決める(1週間)
いきなり全部やらない。まず「請求と消込だけ」など痛みの大きい所から。見積は次のフェーズでも構いません。
既製で足りるか検証(2〜4週間)
候補サービスの無料期間に実データを入れる。足りれば開発は不要。足りない部分がカスタムの要件になります。
設計・構築(1〜6か月)
要件定義、画面設計、開発、テスト。途中で担当者に触ってもらい違和感を早めに拾います。
並行運用と切替(1〜2か月)
旧来のやり方と並行し、数字が合うのを確認してから完全移行。ここを省くと事故ります。
要件定義の具体的な進め方は業務システム要件定義の進め方で、開発全体の流れはシステム開発の流れで解説しています。
よくある失敗5選
| 失敗パターン | 何が起きるか | 回避策 |
|---|---|---|
| 今のExcelをそのまま再現する | 自由入力・表記ゆれまで持ち込み、同じ問題が残る | 「何を実現したいか」で要件を書く |
| 経理だけで決めてしまう | 営業が入力に協力せず、経理が代打する二重入力に逆戻り | 営業・経理・経営の3者で決める |
| 最初から100%自動化を狙う | 例外の作り込みで費用と期間が膨らみ、稼働しない | 8割自動・2割手動で設計 |
| データ移行を軽く見る | 表記ゆれ整理に想定の3倍かかり稼働が遅れる | 直近1〜2年分に絞る |
| 作って終わりにする | 改善要望に対応できず、やがて使われなくなる | 保守契約と改善枠を確保 |
導入したツールが現場で使われなくなる理由については、ITツールが現場で使われない理由でより詳しく掘り下げています。
LUCRISができること
株式会社LUCRISは滋賀県大津市を拠点に、中小企業・個人事業主の業務システム開発を行っています。見積・請求・入金管理では次のようなご相談に対応しています。
- 既製サービスで足りるかどうかの中立的な判断(足りるなら既製をおすすめします)
- 既製の請求サービスを活かし、独自の見積ロジックや消込処理だけをカスタム開発してつなぐ
- 見積から入金消込までを一気通貫で扱う販売管理システムの開発
- 他社が構築したシステムの引き継ぎ・改修・機能追加
- 何から手をつけるべきか分からない段階での業務整理からの伴走
全国オンライン対応、初回のご相談とお見積りは無料です。開発会社選びは滋賀のシステム開発会社の選び方もご参考にどうぞ。
よくある質問
相談だけでも大丈夫ですか?
もちろん大丈夫です。「二重入力が多いのは分かっているが、何を直せばいいか分からない」という段階からご相談いただけます。現状をお聞きして課題を整理するところまでで終わっても構いませんし、既製サービスで足りると判断した場合はそのようにお伝えします。無理に開発をおすすめすることはありません。
滋賀県外・遠方でも対応できますか?
対応可能です。オンライン会議と画面共有を中心に進めるため、全国どこからでもご相談いただけます。要件定義や納品前の確認など、対面が有効な場面ではご訪問も検討します。県外からのご相談にもオンライン主体で対応しています。
費用はどのくらいからお願いできますか?
ご要望の範囲によります。請求管理だけを対象にした小さな仕組みなら80万円台から、見積から入金消込まで一気通貫だと250万円台からが目安です。既製サービスに足りない部分だけをつなぐ形なら50万円台から検討できるケースもあります。まずご予算の枠をお伝えいただければ、その中で何ができるかをご提案します。
今使っている会計ソフトはそのまま使えますか?
基本的にはそのまま使い続けることをおすすめします。会計ソフトは仕訳・決算の道具として優秀なので、その手前の見積・受注・請求・消込を一元化し、仕訳データだけを渡す設計が現実的です。連携はCSV出力から始め、必要になればAPIに切り替える段階的な進め方が安全です。
入金消込は本当に自動化できるのでしょうか。振込名義がバラバラなのですが。
名義のゆれは変換辞書でかなり吸収できます。「カ)〇〇シガ」=「株式会社〇〇 滋賀営業所」という対応を一度登録すれば、以降は自動で一致します。振込手数料の差引や源泉徴収も、許容範囲や税率を設定して逆算照合できます。ただし100%を狙うと複雑になりすぎるため、7〜9割を自動化して残りを人が見る設計をおすすめします。
導入までにどのくらいの期間がかかりますか?
範囲によりますが、請求管理だけなら2〜3か月、見積から入金消込までのフルセットで4〜8か月が一般的な目安です。加えて、切り替え前に1〜2か月の並行運用期間を取ることをおすすめしています。急ぎの場合は、既製サービスをすぐ導入して回しながら、独自部分を後から作るという二段構えも可能です。
社内にITに詳しい人がいなくても運用できますか?
問題ありません。むしろ、そういった環境を前提に設計します。専門知識がなくても操作できる画面構成にし、マニュアルと担当者向けの操作説明をご用意します。サーバ管理やバックアップなどの技術的な運用は保守契約の中で当社が対応するため、お客様は日々の業務に集中していただけます。
今のExcelのデータは移行できますか?
移行可能です。ただしExcelは自由入力ができるぶん表記ゆれが溜まりやすく、整理に手間がかかります。実務上は「取引先マスタと直近1〜2年分の取引データだけを移行し、それ以前は参照用にExcelのまま保管する」進め方が費用対効果に優れています。移行範囲はご相談の中で一緒に決めます。
他社に作ってもらったシステムの改修もお願いできますか?
ご相談いただけます。まず現行システムの構成やソースコードの状況を確認させていただき、改修が現実的か、作り直したほうが結果的に安く済むかを正直にお伝えします。引き継ぎ可能な状態であれば、そのまま機能追加や消込機能の後付けといった改修に対応します。
見積・請求・入金の二重入力、無料相談で整理しませんか
「どこから手をつければいいか分からない」という段階で構いません。今の業務の流れをお聞きして、既製サービスで足りるのか、独自の開発が必要なのかを中立の立場でお伝えします。滋賀県内はもちろん、全国オンライン対応です。
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