- 開発会社を変える前に確保すべきは「ソースコード・ドキュメント・ドメイン・サーバ権限・著作権」の5点。この順番を間違えると乗り換えが止まる
- 契約書で見るべきは著作権の帰属・保守範囲・解約通知期間・データ返還の4条項。多くのトラブルはここの読み違いから起きる
- ベンダーロックインは「悪意」より「情報の非対称」で起きる。回避策は技術ではなく運用ルールで作れる
- いきなり全部作り直す必要はない。改修で延命できるケースと、作り直すべきケースには明確な線引きがある
- 引き継ぎ調査(現状把握)だけを先に切り出して依頼すれば、乗り換えの可否と費用感を低リスクで判断できる
結論:開発会社の乗り換えで失敗する会社の多くは、技術的な理由ではなく「手元に何もない状態で契約を切ってしまった」ことでつまずきます。ソースコードもドキュメントもサーバの管理権限もない状態から新しい会社に引き継ぐのは、設計図のない建物を改修するのと同じで、費用も期間も跳ね上がります。
本記事では、乗り換えを決める前に確保すべきもの、契約書のどこを読むべきか、引き継ぎ調査の進め方、ベンダーロックインの回避、そして事業を止めない段階移行の方法までを、中小企業の実務目線で整理します。「今のままでも大丈夫なケース」も正直に書きます。
- ちょっとした文言修正を頼んでも、返事が来るまで2週間かかる
- 見積もりの内訳が「開発費一式」だけで、何にいくらかかっているのか分からない
- 担当していたエンジニアが退職し、以後「調べます」で止まったまま話が進まない
- 他社に相談したら「ソースコードをもらってください」と言われたが、そもそも誰が持っているか分からない
- 毎月の保守費を払い続けているのに、何をしてもらっているのか説明できない
- ドメインとサーバの契約が開発会社名義になっていて、こちらから触れない
1つでも当てはまるなら、この記事が役に立ちます。読む時間がない方は、無料相談で直接お答えします。
システムの乗り換え・引き継ぎとは
「開発会社を変える」と聞くと、システムを一から作り直すイメージを持つ方が多いのですが、実務ではそうとは限りません。むしろ、既存のシステムをそのまま引き継いで改修していくケースのほうが、費用も期間も抑えられることがよくあります。
乗り換えには3つのパターンがある
そのまま引き継ぐ
既存のソースコードと環境をそのまま受け取り、新しい会社が保守・改修を続ける。最も低コストだが、コードとドキュメントが揃っていることが前提。
部分的に作り直す
老朽化した部分や、業務に合っていない機能だけを新しく作り、残りは既存のまま使う。段階移行の基本形。
全面的に作り直す
技術的に手が入れられない、または業務要件が大きく変わった場合。費用は最も大きいが、この10年を見据えるなら選ぶ価値がある。
どのパターンになるかは、乗り換えを検討し始めた時点では決められません。まず現状を調べてから決めるのが正しい順序です。「今すぐ全部作り直しましょう」と最初の面談で言ってくる会社があれば、その根拠を丁寧に聞いてみてください。中身を見ずに判断できることはほとんどありません。
「保守だけ」を引き継ぐケースも多い
新規開発の必要はないが、日々の障害対応や小さな修正を頼める先がない——という相談は非常に多くあります。この場合は開発ではなくシステム保守の引き継ぎになります。保守の引き継ぎは開発より軽く済むことが多い一方、「何をどこまで見るのか」の範囲定義があいまいだと後で揉めます。詳しくはシステム運用保守の役割も参考にしてください。
「そろそろ乗り換えどき」7つのサイン
不満があってもなかなか踏み切れないのが、開発会社の変更です。感情ではなく事実で判断できるよう、実際に相談が寄せられる典型的なサインを挙げます。
- レスポンスが遅い——問い合わせから初回返信まで、常に1週間以上かかる
- 見積もりがブラックボックス——「一式」表記のみで、工数の内訳を尋ねても説明がない
- 担当者の交代・退職——引き継いだ担当者が中身を把握しておらず、毎回調査費が発生する
- 小さな修正が異常に高い——文言1箇所の変更に数十万円の見積もりが出る
- 提案がなくなった——数年間、言われたことしかやらない状態が続いている
- 技術が止まっている——サポートの切れたバージョンのまま放置され、更新の提案もない
- 連絡が取れない期間がある——障害時に半日以上つながらないことがある
逆に、乗り換えないほうがよいケースもあります。「担当者と気が合わない」「見積もりが想像より高かった」だけが理由なら、まず条件交渉や体制変更の相談をするほうが早い場合があります。乗り換えには必ず引き継ぎコストが発生します。今の会社に不満はあるが致命的ではない、という段階なら、不満を具体的な要求に翻訳して伝えるところから始めるのが現実的です。
「壊れていないのに変える」判断は慎重に
システムが安定して動いており、年間の保守費も相場から大きく外れていないなら、乗り換えのメリットは小さくなります。判断のとき、次の3点を数字で確認してみてください。
※ 上記は一般的なモデルケースであり、成果を保証するものではありません。
乗り換え前に確保すべき5つの資産
ここが本記事で最も重要な部分です。契約を切る前に、次の5つを手元に確保してください。順番も重要です。契約解除を先に伝えてしまうと、相手の協力が得にくくなり、回収が難しくなることがあります。
① ソースコード
システムの設計図そのものです。これがないと、新しい会社は動いているプログラムを外から推測するしかなく、改修費が数倍に膨らみます。確認すべきは次の点です。
- ソースコードの全量があるか(本番環境で動いている最新版と一致しているか)
- バージョン管理(Git等)のリポジトリごと引き渡せるか。履歴があると調査が大幅に楽になる
- ビルド・デプロイに必要な設定ファイルや手順が含まれているか
- 外部サービスの接続情報(APIキー等)が誰の管理下にあるか
ソースコードは「ZIPで一式もらう」より「リポジトリのアクセス権をもらう」ほうが圧倒的に価値があります。過去の変更履歴は、なぜその実装になっているかを推測する手がかりになります。
② ドキュメント
完璧なドキュメントが残っている中小企業向けシステムは、正直に言えば多くありません。それでも、次のうち1つでもあれば引き継ぎの負担は大きく変わります。
- 画面一覧・機能一覧(何ができるシステムなのかの目次)
- データベースの構造(テーブル定義、ER図)
- 外部連携の仕様(どのサービスと、どのタイミングで通信しているか)
- 環境構成図(サーバ、ドメイン、証明書、バッチ処理の一覧)
- 過去の障害対応記録・改修履歴
なお、ドキュメントが一切ない場合でも引き継ぎは可能です。その場合は新しい会社が調査しながら作り直すことになり、その分の工数が乗ります。要件定義の進め方で触れている「現状の可視化」に近い作業になります。
③ ドメイン
意外に多いのが、ドメインが開発会社名義で登録されているケースです。この状態だと、乗り換え時にドメイン移管の協力が必要になり、関係がこじれていると事実上のカードになってしまいます。
今すぐ確認できます。「Whois検索」でご自身のドメインを調べれば、登録者名義が誰になっているか分かります。会社名義になっていない場合は、関係が良好なうちに移管を相談してください。移管には認証コード(AuthCode)とレジストラ側の手続きが必要で、期間も数日〜2週間程度かかります。
④ サーバ・各種アカウントの管理権限
ドメインと同じ構図です。次のアカウントについて、自社が管理者(オーナー)になっているかを洗い出してください。
| 対象 | 確認すること | 名義が他社の場合のリスク |
|---|---|---|
| クラウド/レンタルサーバ | 契約名義・請求先・管理コンソールのログイン | 停止・削除の判断権が自社にない |
| ドメイン | 登録者名義・更新料の支払元 | 更新忘れでサイト停止、移管が難航 |
| SSL証明書 | 発行元・有効期限・更新担当 | 期限切れでアクセス不可 |
| メール配信・SMS等の外部サービス | アカウント名義・APIキー保管場所 | 解約と同時に機能停止 |
| 決済サービス | 加盟店アカウントの管理者 | 売上入金や返金操作に影響 |
| ソースコード管理 | リポジトリの所有組織 | コードへのアクセス自体を失う |
⑤ 著作権(利用・改変の権利)
開発したシステムのプログラム著作権が、発注側と開発側のどちらにあるかは契約書の定めによって変わります。何も書かれていない場合、一般的には制作した側に権利が残ると解釈されることが多く、「お金を払ったのだから当然こちらのもの」とは限りません。
ここで問題になるのは所有そのものより、「第三者に改変させてよいか」という点です。改変権について明記がないと、新しい会社が手を入れること自体に許諾が必要になる可能性があります。
※ 著作権に関する記述は2026年時点の一般的な情報です。個別の契約の解釈や最新の制度については、所管省庁の情報および弁護士等の専門家にご確認ください。
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契約書で確認すべき4つの条項
資産の確認と並行して、現在の契約書を読み直します。中小企業のシステム開発契約では、そもそも契約書が存在しない、あるいは見積書と注文書だけというケースも珍しくありません。その場合は、次の内容をこれから合意し直すと考えてください。
| 条項 | 見るポイント | 抜けていると起きること |
|---|---|---|
| 著作権・知的財産の帰属 | 納品物の権利がどちらにあるか、改変・第三者利用の可否 | 他社が改修できない/許諾交渉が必要になる |
| 保守の範囲(SLA) | 対応時間、対象範囲、月額に含まれる作業量 | 「これは範囲外です」で追加費用が発生し続ける |
| 解約・契約終了 | 通知期間(1〜3か月前が多い)、違約金、最低契約期間 | 切りたい時期に切れず、二重に費用が発生 |
| データ・成果物の返還 | 解約時の引き渡し義務、形式、期限 | データを取り戻せない/有償対応になる |
解約通知期間の落とし穴
保守契約は年間自動更新になっていることが多く、「更新日の3か月前までに書面で通知」といった条件が入っている場合があります。気づいたときには次の1年が確定していた、というのはよくある話です。乗り換えを検討し始めた時点で、まず更新日と通知期限をカレンダーに書き込んでください。
「引き継ぎ協力義務」があるか
優れた契約書には、契約終了時にベンダーが引き継ぎに協力する旨(移行支援義務)が書かれています。これがあると、質疑応答や環境の引き渡しをスムーズに進められます。ない場合でも、多くの会社は良識的に対応してくれますが、協力は有償になる前提で費用を見ておくのが安全です。
ベンダーロックインの正体と回避策
ロックインが生まれる典型的な4つの経路
ドキュメントがない
仕様が担当エンジニアの頭の中にしかない。他社は調査からになるため見積もりが跳ね上がり、結果として現行ベンダー以外に頼めなくなる。
アカウント名義が他社
サーバもドメインも先方名義。技術的には移せても、手続きの主導権が相手にある状態。
独自フレームワーク
その会社だけが使う独自基盤で作られており、他社のエンジニアが読み解くのに時間がかかる。
権利があいまい
著作権の帰属が定まっておらず、第三者による改変の可否がグレーのまま運用されている。
回避策は技術ではなく「運用ルール」で作る
ロックイン回避というと技術選定の話になりがちですが、中小企業が現実的にできる対策のほとんどは事務作業です。
- 名義は必ず自社——ドメイン、サーバ、外部サービスのオーナー権限は自社アカウントで取得し、開発会社は「招待して使ってもらう」形にする
- コードは自社リポジトリに置く——自社の組織アカウントを作り、そこに開発会社を招待する
- 納品時にドキュメントを条件にする——画面一覧・DB定義・環境構成図の3点セットを検収条件に入れる
- 年1回の棚卸し——契約更新のタイミングで、アカウント名義とドキュメントの最新性を点検する
- 一般的な技術を選ぶ——特別な理由がない限り、広く使われている言語・フレームワークを選定する
この5つを最初から守っていれば、乗り換えは「引っ越し」程度の作業になります。守っていなかった場合でも、今から整えれば次回以降のロックインは防げます。
引き継ぎ調査の進め方
資産と契約の状況が見えたら、次は引き継ぎ調査です。新しい会社に「このシステムを引き継げるか、いくらかかるか」を判断してもらう工程で、乗り換えの成否はほぼここで決まります。
調査を「先に、単独で」依頼する意味
いきなり「引き継いで改修してください」と依頼すると、相手はリスクを見積もりに載せざるを得ません。中身が分からないものを請ける以上、当然のことです。一方、調査だけを先に切り出せば、少額で現状を把握でき、その結果をもとに正確な見積もりを取れます。乗り換えを最終的にやめる判断をしても、損失は調査費だけで済みます。
※ 上記は一般的なモデルケースであり、成果を保証するものではありません。
調査で必ず確認しておきたい項目
- 使用している言語・フレームワークとそのバージョン、サポート期限
- 本番・検証環境の構成と、デプロイの手順が再現できるか
- データベースの規模とテーブル構造、命名の一貫性
- 外部サービス連携の一覧と、その認証情報の管理者
- バッチ処理・定期実行の存在(見落とされやすく、障害の温床になる)
- 個人情報を扱う箇所と、その保存・暗号化の状況
- テストコードの有無(あれば改修時の安全性が大きく変わる)
調査結果の3つの結論
調査が終わると、おおむね次の3つのいずれかの結論になります。
| 結論 | 状態 | おおよその追加費用感 |
|---|---|---|
| そのまま引き継ぎ可 | コードが読める状態で、環境も再現できる | 0〜50万円 |
| 整備してから引き継ぎ | 読めるが老朽化・ドキュメント欠落があり、下準備が必要 | 50〜200万円 |
| 部分的な作り直しを推奨 | サポート切れの技術、または改修が現実的でない構造 | 200万円〜 |
※ 上記は一般的なモデルケースであり、成果を保証するものではありません。実際の費用は規模・技術構成により大きく変動します。
改修で足りるか、作り直すべきか
調査結果を受けて判断するのがこの論点です。感覚ではなく、次の観点で切り分けます。
| 観点 | 既存を引き継いで改修 | 作り直し(リプレイス) |
|---|---|---|
| 初期費用 | 50〜300万円 | 300〜1,500万円 |
| 期間の目安 | 1〜3か月 | 4〜12か月 |
| 業務への影響 | 小さい。使い方が変わらない | 大きい。再教育と移行作業が必要 |
| 向いているケース | 機能に大きな不満はなく、直したいのは一部 | 業務が変わった/技術のサポートが切れている |
| リスク | 元の設計の制約を引き継ぐ | 要件定義を誤ると同じ問題を再生産する |
| 将来の拡張性 | 元の構造次第で頭打ちになることがある | 今後10年を見据えた設計にできる |
※ 上記は一般的なモデルケースであり、成果を保証するものではありません。
作り直しを選ぶべき明確なサイン
- 言語・フレームワーク・OSのサポートが終了しており、セキュリティ更新が受けられない
- 改修のたびに別の場所が壊れる(変更の影響範囲が読めない構造になっている)
- そもそも今の業務と機能が合っておらず、手作業での補完が常態化している
- データが壊れており、修正よりも設計し直すほうが早い
- 利用者が増え、性能面で限界に達している
1つも当てはまらないなら、まずは引き継いで改修する方向で検討したほうが合理的です。判断の詳細はシステムリプレイスの考え方とスクラッチ・パッケージ・SaaSの比較もあわせてご覧ください。
既製サービスへの乗り換えという選択肢も検討する
正直にお伝えすると、独自開発したシステムの機能が、いまや既製のクラウドサービスで十分にまかなえるようになっているケースがあります。既製で足りるなら、既製を使うほうが安く確実です。次の場合は既製サービスへの移行を先に検討してください。
- やっていることが一般的な業務(勤怠・経費・請求・顧客管理など)で、自社独自の運用がほとんどない
- 利用人数が少なく、月額課金のほうが総額を抑えられる
- 法改正への対応を自社で追いたくない
逆に、自社独自の業務フローが競争力そのものになっている場合や、既製サービスに合わせて業務を変えると現場が回らない場合は、カスタム開発で引き継ぐ判断になります。この線引きは内製化と外注の判断基準の考え方とも重なります。
今のシステム、引き継げるかどうかだけでも見ます
他社が開発したシステムの引き継ぎ・改修のご相談も承っています。相談・お見積りは無料、全国オンライン対応。既製サービスで足りる場合は正直にそうお伝えします。
乗り換えの費用相場とスケジュール
乗り換えにかかる費用は「調査」「移行作業」「改修」「保守」の4つに分けて考えると見通しが立ちます。
| 項目 | 内容 | 費用の目安 |
|---|---|---|
| 引き継ぎ調査 | コード・環境・データの現状把握と方針提示 | 20〜80万円 |
| 環境移行 | サーバ移設、ドメイン移管、証明書の再設定 | 20〜100万円 |
| ドキュメント整備 | 画面一覧・DB定義・構成図の作成 | 30〜120万円 |
| 初期改修 | 老朽箇所の更新、優先度の高い不具合対応 | 50〜300万円 |
| 月額保守 | 障害対応、軽微な修正、監視 | 月3〜20万円 |
| 部分的な作り直し | 機能単位での再構築 | 100〜600万円 |
※ 上記は一般的なモデルケースであり、成果を保証するものではありません。規模・技術構成・引き継ぎ資料の有無で大きく変わります。
より一般的な開発費の考え方はシステム開発の費用相場を、投資判断の組み立て方はシステム化の費用対効果(ROI)を参考にしてください。
費用を左右する4つの要因
ドキュメントの有無
最も影響が大きい要因。何もない状態からの調査は、揃っている場合の2〜3倍の工数がかかることがあります。
技術の一般性
広く使われている技術なら人材が見つかります。独自基盤や古すぎるバージョンは費用と期間が伸びます。
前ベンダーの協力度
質疑に応じてもらえるかどうかで、調査の効率が大きく変わります。
停止できる時間
一切止められないシステムほど、移行の段取りが複雑になり費用が上がります。
スケジュールの標準的な流れ
- 0〜2週目:現状の棚卸し(資産・契約・アカウント名義の確認)
- 2〜4週目:新しい会社の選定、調査の依頼
- 1〜2か月目:引き継ぎ調査の実施と方針決定
- 2〜3か月目:現ベンダーへの通知、引き継ぎ日程の調整
- 3〜5か月目:環境移行・並行稼働・初期改修
- 5か月目以降:新体制での保守開始
解約通知期間が3か月の契約なら、通知のタイミングを逆算する必要があります。「調査結果が出るまで通知しない」のが原則ですが、更新日が迫っている場合は先に通知だけ出して期間を確保する判断もあり得ます。
事業を止めない段階移行の設計
乗り換えで最も怖いのは、切り替えの瞬間に業務が止まることです。これを避けるのが段階移行の考え方です。
3つの移行方式
| 方式 | やり方 | 向いている状況 |
|---|---|---|
| 一斉切替 | ある日を境に全面的に新体制へ移る | 小規模/停止できる時間が確保できる |
| 並行稼働 | 一定期間、旧と新を同時に動かし結果を突き合わせる | 数値の正しさが重要(請求・在庫など) |
| 段階移行 | 機能や部門ごとに順次移す | 規模が大きい/止められない業務がある |
移行当日までに決めておくこと
- 切り戻し条件——何が起きたら旧環境に戻すのかを、事前に文章で決めておく
- 連絡体制——移行当日、誰が誰に何分以内に連絡するか
- データの基準時刻——どの時点のデータを移すか、その間の入力をどう扱うか
- 現場への周知——ログイン方法やURLが変わる場合、事前に案内する
- 旧環境の保持期間——すぐに消さず、最低でも数か月は参照できる状態で残す
旧環境をすぐ止めないでください。乗り換え直後は「あの資料は前のシステムにあった」という場面が必ず出ます。旧環境を読み取り専用で残しておくだけで、移行の心理的な負担は大きく下がります。費用も、稼働中の保守費より安く済むのが一般的です。
現ベンダーへの伝え方と失敗6パターン
技術より難しいのが、今の開発会社への伝え方です。感情的なやりとりになると、引き継ぎ協力が得られず、結局困るのは自社です。
伝えるときの3原則
- 資産の確保を先に済ませる——ソースコード、ドキュメント、アカウント名義の確認を終えてから通知する
- 理由は事実ベースで、責める言い方をしない——「対応が遅い」ではなく「社内の体制変更に伴い」で足りる場面は多い
- 引き継ぎ協力を有償で正式に依頼する——タダで頼まない。見積もりを取り、作業として発注するほうが確実に進む
よくある失敗6パターン
先に契約を切ってしまう
感情的になって解約を先に伝え、その後ソースコードの引き渡し交渉が難航。最も多く、最も損の大きい失敗です。
調査せずに乗り換え先を決める
中身を見ていない状態の見積もりは必ずぶれます。着手後に「想定と違った」で追加費用が発生します。
ドメイン名義を放置
移行の最終段階でドメイン移管が進まず、公開が数週間遅れるケース。事前確認で防げます。
バッチ処理を見落とす
夜間に動く定期処理の存在を誰も知らず、移行後に「月末の集計が来ない」と発覚。
安さだけで次を選ぶ
今回の乗り換え理由が「安いから選んだ結果」であることも。次は保守体制と説明の丁寧さで選ぶべきです。
次の開発会社を選ぶときの見極めポイント
- 他社が開発したシステムの引き継ぎ実績や、その進め方を説明できるか
- 調査だけを単独で請けてくれるか(いきなり全面作り直しを勧めてこないか)
- 見積もりの内訳を工数レベルで示せるか
- ドキュメントを納品物に含める提案をしてくるか
- アカウント名義を自社にする運用を勧めてくれるか
- 既製サービスで足りる場合に、そう言ってくれるか
会社選びの一般的な観点はシステム開発会社の選び方にまとめています。
今の開発会社に知られずに、他社へ相談することはできますか?
可能です。相談段階で現ベンダーに連絡が行くことはありません。むしろ、資産の確保状況や契約条件を整理してから通知するほうが、その後の引き継ぎが円滑に進みます。相談内容の秘密保持については、必要であれば秘密保持契約(NDA)を締結したうえで進めることもできます。
ソースコードをもらえない場合、乗り換えは不可能ですか?
不可能ではありませんが、選択肢は狭まります。コードがない場合、既存システムの挙動を外から確認しながら同等の機能を作り直す形になり、費用と期間は大きくなります。ただし、データベースの中身にアクセスできればデータの移行は可能なことが多く、「機能は作り直し、データは引き継ぐ」という進め方が現実的な着地点になります。まずは契約書に成果物の引き渡しについて何が書かれているかを確認してください。
相談だけでも大丈夫ですか?
大丈夫です。「乗り換えるべきかどうか自体を判断したい」というご相談を多くいただきます。お話を伺った結果、今の会社に条件交渉をするほうが早い、あるいは既製サービスへの移行のほうが適している、とお伝えすることもあります。相談・お見積りは無料で、その場で契約を迫るようなことはありません。
滋賀県外・遠方でも対応できますか?
対応しています。株式会社LUCRISは滋賀県大津市を拠点としていますが、オンラインでの打ち合わせを中心に全国からのご相談を承っています。引き継ぎ調査はソースコードと環境情報をもとに進めるため、遠方でも進行に支障はありません。必要に応じて訪問での打ち合わせもご相談ください。
費用はどのくらいからですか?
引き継ぎ調査のみであれば20〜80万円程度、環境移行を含めると数十万円〜、初期改修まで含めると100万円台からが一つの目安です。ただし、規模やドキュメントの有無で大きく変動するため、まずは現状を伺ったうえで概算をお出しします。いきなり大きな金額の提案をするのではなく、調査だけを小さく始める進め方をお勧めしています。
ドメインやサーバが開発会社名義でした。どうすればよいですか?
関係が良好なうちに移管を依頼するのが最善です。ドメインは移管用の認証コードを発行してもらい、自社名義のアカウントへ移します。サーバは、契約を引き継ぐ方法と、新しく自社契約を取って中身を移す方法があります。後者のほうが手続きは簡単なことが多く、移行のタイミングで併せて実施するのが効率的です。手続きの具体的な進め方はご相談ください。
今のシステムを引き継いでもらえるかどうか、どう判断しますか?
ソースコードが読める状態にあるか、環境を再現できるか、外部サービスの認証情報が確保できるか——この3点がそろっていれば、多くの場合は引き継ぎ可能です。逆に、いずれかが欠けている場合は、欠けている部分を補う作業が先に必要になります。判断のためにも、まず引き継ぎ調査を単独で実施することをお勧めしています。
乗り換え中に業務が止まる心配はありませんか?
止めないための進め方を最初に設計します。旧環境を残したまま新環境を準備し、切り替えは業務の少ない時間帯に実施、問題があれば旧環境に戻せる状態を維持する——という段取りが基本です。請求や在庫のように数字の正しさが重要な場合は、一定期間の並行稼働を挟むこともあります。どこまで慎重にやるかは、止まったときの影響の大きさに応じて決めます。
保守だけをお願いすることもできますか?
できます。新規開発の予定はないが、障害対応や軽微な修正を頼める先がないというご相談は多くいただきます。この場合も、まずは現状のシステムを把握する調査から入り、そのうえで対応範囲と月額を決めます。「何をどこまで見るか」を最初に文章で定義しておくことが、後々のトラブルを防ぐ最大のポイントです。
開発会社の乗り換え・システムの引き継ぎ無料相談
「今のシステムを引き継げるのか」「何から手をつければいいのか」——その判断からご一緒します。他社が開発したシステムの引き継ぎ・改修、保守だけの引き継ぎもご相談ください。全国オンライン対応、売り込みは一切いたしません。
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